02
"……、か……?"
"……よう……。……れて行く…?"
誰かの話し声が聞こえ、意識が少しずつ浮上していく。
ゆっくりと目を開いた時、目の前に白いモフモフに埋まる顔があった。ドアップで。
『あ、起きた』
「どわーっ!?」
「あっ、目が覚めたんだぞ!」
謎のモフモフから離れるべく、上体を起こして後ずさる。
尻もちをついた格好になってるからさぞ滑稽だろう。笑いたきゃ笑え。
そのモフモフはヒツジのような顔立ちをして、ソイツを挟むように2人の少年が立っていた。
1人は色白で茶髪の少年、もう1人は少し色黒で紫色の髪をしている少年。
背格好やパッチリとした目元を見るに、10代前半くらいだろうか?
「え……はっ、ここは……?」
「ここはハロンタウンだ。お兄さん、うちの庭の前で倒れてたんだぞ」
「ハロン、タウン……?」
聞き慣れない場所の名前に頭を捻る。そんな町あったか?
日本じゃ聞いたことないよな……まさか海外!?
ってかそもそも海外のヒツジって喋んの!?
「だ、大丈夫ですか?」
「お……おぅ! 俺はこの通り元気だし、喋るヒツジなんて知らないし!」
「ヒツジって、ウールーのことか? ウールーは喋らないぞ」
『ヒツジって何?』
「ほら、今喋っただろ!?」
色白君(仮)と色黒君(仮)が困ったような表情で顔を見合わせる。
これはマズイ……このままじゃ"大嘘つき"とか"頭おかしいヤツ"とかのレッテルを貼られかねない。
本当にこのヒツジの言葉が分かるのは俺だけなのか?
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