01
「ふぁ〜……ねむ……」
ひたすら眠いだけの授業を何とか耐え、あくびを1つ零す放課後。
良くも悪くも平凡な日常を送っていたはずの俺に、"それ"は突然訪れた。
「ユウヤ、いるかー?」
「おー」
下校の準備をしていた俺のところに、隣のクラスの友人が顔を出した。
準備といっても基本置き勉なので大した荷物ではないのだが。
「お前、この後ヒマだろ? ちょっと付き合え」
「やだよ。どうせ彼女との惚気話だろ?」
「お前しか聞いてくれるヤツいないんだってぇ。な?」
何が"な?"なのか問いただしたいところではあるが、ため息をつきながらも続きを促してしまう俺も大概なんだろう。
というのも、コイツの彼女自慢はとにかく長い。
相思相愛なのは結構だが、毎回長い惚気話に付き合わされる俺の身にもなって欲しいと思ってはいる。
「やっぱ持つべきは友達だな! いつものファミレスで良いだろ?」
「分かった、分かった。聞いてやる代わりに何か奢れよ」
普通の家に生まれ、友人と一緒に学校へ行き、放課後は(帰宅部なので)買い食いとかして家に帰る。
そんな平凡で、代わり映えのない毎日を過ごしていくものだと思っていた。
この時までは−−。
「ユウヤ!」
血相を変えた友人の叫ぶ声が聞こえたと思ったのも束の間。
右側から大型トラックが突っ込んできているのが見えた。
"ヤべ、ボーッとしてた"と考える暇もなく、俺は凄まじい衝撃と一緒に気を失った。
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