04
単刀直入に結果から言えば、俺たちが勝った。
俺はその場にいた他のジムチャレンジャーたちから賞賛の拍手を送られ、対してエール団はガックリと項垂れる。
そんな騒ぎの中で、"何してんの、みんな?"という声が聞こえた。
声の主は10歳前半くらい(たぶん)の女の子。その隣には黄色と黒の体をした、ピカチュウに似たポケモンが立っている。
エール団たちが驚いた声で"マリィ!?"と女の子のものらしき名前を呼んだ。
さっきコイツらが言ってた"とあるトレーナー"って、もしかしてあの子なのか?
いや、あの……と弁明しようとするエール団に対し、マリィは小さくため息をついた。
「アンタたちがジムチャレンジャーを気にするのは分かるけど、ちょっと手荒過ぎるって」
マリィはエール団を叱りつけると、その目線を俺に向ける。
そして"ゴメン!"と謝罪の言葉を口にした。
「エール団はあたしの応援団なんだけど、みんな浮かれてるみたい。
ほらみんな、帰って帰って!」
まさに鶴の一声。エール団は肩を落としながらスゴスゴとホテルを後にした。
「みんなあたしの応援に夢中で、他のジムチャレンジャーには刺々しくなってるの。
不愉快な思いさせたなら、ゴメン」
「あーいや……お前の意思じゃないみたいだし、気にすんなよ。
マリィ、だっけ? 俺はユウヤ、よろしくな」
パンクっぽい見た目とは裏腹に根は真面目な子みたいで安心する。
名乗りと一緒に手を差し出すと、ほんの少しだけ笑いながら握手を返してくれた。
「おーいユウヤ! お前のチェックインは騒がしいぞ!」
「大丈夫……って、うわっ!? 何があったの!?」
水やら倒れた植木やらで散らかったエントランスの床を見て、マサルが驚いた声を上げる。
マリィを紹介しつつ、さっきのバトルのことを手短に話た。
「へぇ! もうファンがいるなんてすごいな、マリィ!」
「僕たちもジムチャレンジに参加するんだ。お互い頑張ろうね!」
「うん、よろしく。じゃあ、あたし行くね。
明日の開会式に備えるから」
「おぅ、また明日な」
自分の宿泊部屋に向かったマリィを見送り、カウンターでチェックインの手続きをする。
エール団を追い払ってくれたお礼ってことで、片付けはホテルの従業員ですると言ってくれた。
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