03
「よぅ、若者たち! 無事にエントリーできたようね」
「あれ、ソニア? なんでホテルにいるんだ?」
「まどろみの森にいるっていう不思議なポケモンの調査なんだけど、ガラルの歴史を調べれば何か分かると思ってさ」
そう言うと、ソニアはクルッと後ろを振り返る。
そこには黄金色の、剣士らしき像が立っていた。ガラルの英雄像とかか?
「これはガラル地方を救ったと言われる英雄の像だよ。
遥か昔−−。ガラル地方の空に黒い渦……人呼んで"ブラックナイト"が現れてあちこちで巨大なポケモンが暴れ回ったが、剣と盾を持った1人の若者によって鎮められた。
その若者……すなわち英雄をモチーフにした像よ」
「ブラックナイト……」
巨大なポケモンって、もしかしてダイマックスしたポケモンだったりすんのかな。
そんなのがガラルのあちこちで暴れてるってのは……確かにちょっと怖ぇわ。
「もっとも英雄がどんな剣と盾を持ってたのか分かってないし、そもそも黒い渦が何なのかも謎なんだ。
ガラルの空を覆ったことから、ブラックナイトって呼ばれてはいるけど……」
「ふーん、英雄ってのはアニキみたいに強いんだな!
けど黒い渦とか、剣と盾とか調べることがいっぱいで大変そうだぞ」
「うん。でもまぁ、なんとかしないとね。
それよりあなたたち、チェックインしに来たんでしょ?
受付は何か騒がしいけどさ」
確かに、さっきから何か上の方が騒がしい。もしかしてクレーマーか?
でもチェックインしないと俺たちも困る。できれば関わり合いになりたくねぇけど、仕方ねぇよな……。
「あー、すんません。そこに居座られるとチェックインができねぇんすけど」
カウンター越しにスタッフに対して騒ぎ立ててるのは、黒とショッキングピンクの服を着た集団だった。
顔にもペイントがしてあるけど、誰かの熱烈(過ぎる)ファンとかか?
「何なんですかあなた! 我々はジムチャレンジャーの応援のため、遥々都会まで来たのです!
そんな真面目なエール団の邪魔をするなら勝負ですよ!」
「ジムチャレンジャーの応援っつうんなら、こんなとこで騒いでちゃダメっしょ。
みんなチェックインできなくて困ってんだ。今アンタらがしてんのはただの"妨害"だぞ」
「コラー! 人の話を聞くのです、これ以上邪魔すれば勝負と言いました!
とあるトレーナーを勝たせるためにエールを届けーる……我らエール団の恐ろしさを教えーる!」
「はいはーい! ホテルでバトル良いじゃんね!」
「いやそっちこそ人の話聞けよ!」
めんどくせぇことに巻き込まれちまったな……。
でもこのまま何もしなけりゃ状況は変わらない。
向こうは2人……ぶっつけ本番だけど、ダブルバトルで乗り切るしかないよな!
エール団とかいうヤツらが繰り出してきたのは、ジグザグマとクスネってポケモンだった。
ロトムにスキャンしてもらったら"悪タイプ"って言われたんで、ひとまず弱点を突かれることは無さそうだ。
……つか悪タイプって初めて聞くけど、そんなタイプあったか?
「すんません、スタッフさん! 後でちゃんと片付けるんで!
行け凪、瑞貴!」
『分かった!』
『任せてちょうだい。アンタたち、あんまりおいたが過ぎると周りから嫌われるわよ?』
エントランスでエール団と睨み合う。
とっとと終わらせてご退場願わねぇとな!
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