04
「ハァ……ハァ……ハァ……。な……なんとか逃げ切れたか……?」
名前の知らないポケモンに助けられて、キテルグマを振り切った俺たち。
追い掛けてきてないか辺りを見回したけど、姿が見えないのでようやく一安心だ。
『ご主人、大丈夫? 』
『……ごめんねユウヤ、戦えたら良かったんだけど』
「いや、お前らは気にすんなよ。見た感じめっちゃ強そうだったからな。
そんなポケモンとバトルなんてさせられねぇよ。
それより……さっきはありがとな。おかげで助かった」
隣にちょこんと立っているバラのポケモンに礼を言う。
するとソイツはニコリと笑いながら"良いのよ"と返した。
『それにしても人間の坊や、どうしてキテルグマに追われてたの?
バトルを仕掛けた訳でも無さそうな口ぶりだけど』
「あー、実はな……。あのキテルグマがこんな感じで両手を振ってたから、挨拶かと思って俺も軽く手を振り返したんだよ。
そしたらいきなり……」
あの時のキテルグマのジェスチャーを真似しながらそう言うと、バラのポケモンは呆れ返ったみたいにため息をついた。
『坊や……それは挨拶じゃなくてね、威嚇と警戒のジェスチャーなの。
つまり坊やはあのキテルグマに売られたケンカを買っちゃったのよ』
「はぁ!? あの時威嚇されてたのか、俺!?」
『それにキテルグマは全身が筋肉で、丸太1本を簡単にへし折れる程の筋力があるわ。
人間の骨を粉砕するのなんて造作もないのよ、あの子たちは』
ヒュッと喉が鳴る音が聞こえ、口元が引きつっているのが自分でも分かる。
あんなゆるキャラみたいな顔して、なんつーポケモンだよ……。
『でも、良い勉強になったじゃない。キテルグマに不用意に近付いちゃいけないってことがよく分かったでしょ?』
「いやまぁ、そうだけど……。なんかスゲェ疲れた……」
そう思ったところで、俺の腹の虫が鳴る。
気が付けば太陽は俺の真上まで来てるし、そろそろ昼ご飯にするか。
「俺らはここで昼ご飯にするけど、良かったらお前も食べてけよ」
『あら、良いの?』
「良いって、良いって。キテルグマから助けてくれた礼だ」
『お礼なんて気にしなくて良いのに、律儀な坊やね。でもそこまで言うならいただこうかしら』
「よし。凪、大和、昼ご飯にするぞ」
モンスターボールから2人を出して、カレー作りに取り掛かる。
具材は……こもれび林でリンゴいくつか採ったから、それ使うか。
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