02

3人でブラッシータウン駅の列車に乗り込み、ジムチャレンジの開会式が開かれるというエンジンシティへと向かう。

……はずだったんだが。列車は何故かエンジンシティに到着する前に停車し、俺たち乗客はワイルドエリア駅で全員下ろされた。

「ねぇ、駅員さん。ここってワイルドエリアの駅だよね?
何があったんだ?」

「申し訳ありません。ウールーたちが線路を塞いでしまってるんです。
無理矢理に追い払う訳にもいかなくて……」

ホップに事情を聞かれ、申し訳なさそうに眉を下げた駅員に謝罪される。

まぁ人身事故とかでー、っていうんじゃなくて良かったわ。

「……待てよ? ワイルドエリアか!
マサル、ユウヤ! これはむしろラッキーだぞ!」

「ラッキーって、何がだ?」

「ワイルドエリアはとにかく広い! それに色んなポケモンが生息してるんだ!
キャンプや釣りもできるし、最強のチームにできるぞ!」

「あっ、待ってよホップー!」

駅の出口に向かって、ホップが一目散に走っていく。

そんなアイツの後ろを、俺とマサルは慌てて追い掛けた。



駅舎から出て少し歩くと、そこには広大なフィールドが広がっていた。

「すげぇー……ここがワイルドエリアか……」

木もたくさんあるし、湖もある。

"緑豊かな自然公園"って印象を受ける場所だと思った。

遠くの方には何かでっかいゲートみたいな建物が立っている。スマホロトムでマップを見るに、あのゲートの先がエンジンシティらしかった。

ってか、ワイルドエリアってエンジンシティの先のナックルシティ? 近辺まで広がってんのな。

「向こうに見えるのがエンジンシティ。開会式のある場所だぞ!
あそこに行くまでに、どれだけのポケモンと……って、なんだソニアじゃん」

ホップの言葉に後ろを振り返ると、ソニアの姿が見えた。同じ列車に乗ってたのか。

「あっ、ヤッホー! 出発早々災難だったね」

「なんでソニアがここに? 研究所の方は良いのか?」

「実はお祖母様に言われたのよね……。"あなたたちが旅に出るのに、あなたはどうするのかしら"って」

「へぇー、大人って大変なんだな」

「あの……気にしなくて良いから。
それにあなたたちが見たっていう不思議なポケモンのことも気になるし、ちょっと調べてみようかなって。
何か分かれば、きっとお祖母様も認めてくれる……!」

「そ、そうなんだ……。やっぱり大人って大変なんだなぁ」

マサルの言葉に、ソニアは"気にしなくて良いから"と再度口にする。

ソニアにとっては久しぶりの旅らしいから、ちゃっかりキャンプとかも楽しむつもりでいるみたいだ。

「よし、じゃあ俺たちはここから別行動だ。先に行ってるぞ!」

「あっ、もうホップってば……。じゃあ僕も行くよ、ユウヤ。
エンジンシティで会おうね」

「おぅ。またな、マサル」

駆け出していく2人を見送り、再びスマホロトムのマップを開く。

とりあえず……こもれび林を通るルートで行ってみっかな。

「俺もそろそろ行くか。じゃあまたな、ソニア。
博士からの宿題、頑張れよ」

「ありがと、ユウヤ君。君もジムチャレンジ頑張ってね」

ソニアと分かれ、こもれび林のある方に歩いていく。

空は気持ちが良いくらいの晴天で、実にキャンプ日和だった。


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