03
ブラッシータウンでモンスターボールを買って、ワンパチの大和が正式に仲間になった。
町にあるカフェで俺の軽食を済ませて、今度こそポケモン研究所に向けて歩を進める。
草むらではウールーを筆頭に、初めて見るポケモンたちを数多く見かけた。
(こうしてみると……本当にポケモンの世界に来ちまったんだな、俺)
今すぐ元の世界に帰りたいって訳じゃない。
自由に行きたいところへ行けるっていうのは好きだ。……つか、帰り方分かんねぇし。
ただ強いて言うなら、"ポケモントレーナーとしてやって行けるか"っていう不安は少しある。
メタい発言をさせてもらうと、俺は初代の頃のポケモンの知識しかない。
近所に住んでた子どもが言ってたようなメガなんとかだとか、リージョンなんとかだとか……。あと何だっけな、途中から増えたらしい"フェアリータイプ"とか。
とにかく最近のポケモンの要素はからっきしだ。
(やりながらでも覚えていくしかねぇよな。
この先どういうポケモンが仲間になるか分かんねぇし)
幸いなことに単語の暗記が多い科目は割と得意な方だった。
……逆に言えば、複雑な計算は苦手なんだが。
それにトレーナーになるってことは、自分のポケモンに対する責任を負うことと同じ。
とにかくこうしてガラルを旅して回ることになったんだ。これから覚えていかなきゃならないことは山ほどある。
『お。おーい、ユウヤ』
突然掛けられた声に辺りを見回すと、ポケモンセンターの近くに見知った姿を見つける。
ダンデさんのリザードンが、俺に向かって手を振っていた。
「え、リザードン? 何してるんだ、こんなとこで」
『お前、研究所に行くのは初めてだろ?
ダンデに案内させたら絶対道に迷うんで、俺が代わりに引き受けたんだよ』
そういえばホップも、"アニキは方向音痴"だとか言ってたっけか……。
何にせよ道案内してもらえるのはありがたい。
「そっか。ありがとな、リザードン」
『わぁ〜! おっきい、かっこいい!』
『お前は……。あぁ、ワンパチが仲間になったのか。
ソニアのワンパチかと思ったが、違ったんだな』
「ソニア?」
リザードンの口から飛び出した聞き慣れない名前に、思わず首を傾げる。
雰囲気とか響きからすると、女の人なのか?
『あぁ、ダンデの幼馴染でな。昔一緒にジムチャレンジに挑戦してたんだ』
昔を懐かしむようにそう語るリザードンの後をついていく。
やがて1軒の建物が見えてきて、その前にダンデさんが立っているのも見えた。
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