01

まどろみの森を出て、ブラッシータウンに続く道を歩く。

俺の隣では凪がテコテコと歩いている。ボールに入るか聞いたけど、"せっかく外にいるんだし"と言われたので好きにさせることにした。

ちなみにマサルたちは親御さんに旅に出ることを伝えてから来るらしく、2番道路……? の先にあるマグノリア博士の家で待ち合わせることになっている。

初代のポケモン博士は、確かポケモンをタイプ別に分類したってキャラだったな。マグノリア博士? は何の研究してんだろうな?

……と、違うことを考えて気を紛らわせようとしたところでモヤモヤは晴れない。

まどろみの森で見たあのポケモンたちの言葉が、棘みたいにチクチクと心に刺さっているからだ。

「……」

『……。……ねぇ、ユウヤ』

「お、おぅ……どうした?」

『気にしてるの? まどろみの森でのこと』

凪の大きくて丸い目が俺をジッと見つめる。

正直少し……いや、かなり気にしてはいるがいつまでも引きずっている訳にもいかないよなぁ。

「あー、やめだやめ! ちょっと早ぇけど昼ご飯にするぞ、凪!」

『うん……!』

ちょうど近くに座れそうな岩を見付け、その上に腰掛ける。

昼ご飯はマサルの母親が作ってくれたサンドイッチと、食材を分けてもらって作った煮卵のおにぎり。

味付きご飯をマサルに試食してもらったら"美味しい!"と言ってくれたんで、アイツにも1つ持たせた。

「お前サンドイッチとおにぎり、どっちが良い?」

『どっちも美味しそうだし悩むなぁ……』

悩むと言いつつ、視線はしっかりおにぎりに向けられている。

(こっちか……)

キャンプセットの中からナイフを取り出し、手の上で半分に切る。

黄身の部分は良い感じに半熟になってて、我ながら上手くできたんじゃねぇかって思うわ。

「んじゃ、食うか。……いただきます」

『いただきます』

残りのおにぎりを1度ラップに包みなおして、手に取ったサンドイッチにかぶりつこうとした時だった。


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