01
トレーナーになって最初のポケモンバトルを経験した後、ダンデさんの勧めでポケモン研究所に向かうことになった。
研究所があるというブラッシータウンへ続く道を歩き始めたところで、遠くの方から"バコーン!"という轟音が聞こえた。
「な、何だ今の音?」
「あっちから聞こえたけど……」
「行ってみよう!」
マサルの家のある方角に向かって走り出した2人の後について、俺も駆け出す。
たどり着いた先にあったのは、開け放たれた木製の柵。
確か"さっきここでウールーが体当たりしてた"って、ホップが言ってなかったか?
「柵が開いてる……」
「まさかあのウールー、まどろみの森に入っていったのか?」
「まどろみの森?」
まどろみの森はハロンタウンの西側に位置する森で、常時深い霧に覆われているらしい。
霧ってことは、視界が遮られる訳か……。こりゃウールー探すのも一苦労だぞ。
「助けに行かないと!」
「待って、ホップ! まどろみの森は立ち入り禁止だよ!」
「霧が深くてメッチャ迷うからか?」
「それもあるけど、まどろみの森には恐ろしいポケモンがいるってウワサがあるんだ。
昔ポケモン博士のお孫さんが森の中で酷い目にあって、すごく怒られたって……」
そんだけおっかない(ないしは強い)ポケモンがいるんなら、あのウールーも危ないってことだ。
ウールーにその気が無くても、"縄張りに侵入した"って襲われる可能性だってある。
「……俺も行く」
「えっ、ユウヤまで本気!? ママたちに怒られちゃうよ!」
「そん時は一緒に怒られてやるよ。どうせなら、俺がどうしても森に入ってみたいって言ったことにすれば良いさ」
「うーん、友達を言い訳のダシに使うのは気が引けるけど……"それはそれ、これはこれ"だ。
今はダメだって分かってても行かなきゃ行けないシーンだぞ!」
最終的にマサルが折れる形で、俺たちはまどろみの森に入っていく。
濃い霧はまるで俺たちを飲み込もうとしているみたいに、もったりと重い空気を纏っていた。
[*prev] [next#]
TOP