03
「それじゃあママ、行ってきます!」
「世話んなりました」
「パートナーがいれば、草むらからポケモンが飛び出してきても安心ね。
2人とも気を付けて行ってらっしゃい!」
旅立ちの準備を整え、マサルの家を出発する。
目的地であるホップの家にたどり着くと、庭の方から"おーい!"と俺たちを呼ぶ声が聞こえてきた。
「おはよう、ホップ!」
「おはよう、マサル! ユウヤも昨日はよく眠れたか?」
「おぅ、おはようさん。お陰さんでグッスリだったぜ」
"それは良かったぞ"と言って笑うホップ。そしてその足元ではサルノリが凪たちに挨拶をしている。
ホップの後をついて行くと、ダンデさんが仁王立ちで待っていた。隣には相棒のリザードンもいる。
「おはよう、2人とも! 長い夜を過ごしたんだ、大事なパートナーへの愛と理解は深まったよな」
「それはもちろん!」
「う、うっす……」
「ハッハッハ、それは良い!
良いか、ポケモントレーナー。大事なのは自分とポケモンを信じることだ。
お互いが信じ合い、戦い続け……いつか無敵のチャンピオンである俺のライバルとなれ!」
(この人のライバル、か……)
元の世界にいた時にやってたゲームでも、チャンピオンに勝つことは目標の1つだった。
場所は違っても、ポケモントレーナーの夢の行き着く先ってのはあんまり変わんねぇのかもな。
「なんだよ、アニキと戦うのは俺だぞ!
よし、ならマサルもユウヤも今からライバルだ! ポケモントレーナーがやることと言ったら、1つしかないよな?」
「うん、ポケモンバトル……だね!」
「あ、でも困ったぞ……」
さっきまでの勢いがスンッと大人しくなり、今度は腕を組んで頭を捻りだしたホップ。
"困った"って、どういうことだ?
「そう難しく考えるな、ホップ。マサル君とバトルしたかったんだろう?」
「そりゃそうだけど……俺、ユウヤともバトルしてみたいんだぞ」
「え、俺?」
突然自分に向けられた話の矛先に、思わず目を見開く。
確か、ポケモンバトルって1対1のスタイルなんだったっけか。
「順番にやれば良いんじゃね?」
「うーん、俺だけ2回もバトルするのは気が引けるんだよなぁ」
「ではホップが2体、マサル君とユウヤ君がタッグを組んで1体ずつというのはどうだ?
少し変則的だが、これなら3人全員で平等に戦えるだろう?」
「確かに……俺にはウールーもいるもんな! さすがアニキなんだぞ!」
「そんなんアリなんすか!?」
「ユウヤは、ダブルバトルとかタッグバトルって知らないか?
どっちのバトルも2体ポケモンを出してバトルするんだぞ!」
「そもそも、どう違うんだ?」
「簡単に言えば、参加するトレーナーの人数だね。
1対1で2体ずつポケモンを出すか、2対2で1体ずつポケモンを出すかの違いだよ」
「へぇー……。そんなバトル形式あるんすね」
ポケモンバトルってシングルだけじゃねぇのか……。
時代に連れて変わるもんなんだなー……。
[*prev] [next#]
TOP