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「……ん……ん゛んんん〜……。……あ、れ……?」



カーテンから差し込む光に、目を軽く擦りながら身体を起こした。

見慣れない部屋、明らかに俺の私物とは違う小物や雑貨が視界に写る。あぁ、そういえば……。

(ポケモンの世界に来たんだっけか、俺……)

ボンヤリしている頭を動かしながら今までのことを整理する。

昨日は確か……トラックに轢かれたと思ったら、目が覚めたそこはポケモンの世界。

ダンデさんからメッソンの凪を貰って、バーベキューにお呼ばれして……。

夜はマサルん家に寝泊まりさせてもらったたんだった、そうだった。

とりあえず隣で寝ている凪を起こすべく、小さな体を軽く揺する。

「おーい凪、そろそろ起きろー?」

『……ふわぁ〜……、あふ……。もうあさぁ?』

『朝だぞー! 起っきろー!』

「グッフ!?」

腹のど真ん中に重い一撃が入り、俺の上半身はベッドへ戻される。

再び視界に入った天井と一緒にクリクリとしたオレンジ色の瞳が写った。

どうやら俺は、ヒバニーの渾身のダイブを喰らったらしい。

『……あっ。おはよう、ヒバニー』

『おっはよー、メッソン! ……あ、今は凪って名前になったんだっけ?』

「おーい……ゲホッ……。楽しそうに話してるとこ悪ぃんだけどさ……。
とりあえず腹から降りてくれねぇ?」

"エヘヘ、ごめんなさーい"と言いながら、ストンとヒバニーが飛び降りる。

腹をさすりながらのそりと起き上がると、トントントンと階段を上がってくる足音のような音が聞こえてきた。

「あっ、こらヒバニー!
ユウヤは色々あって疲れてるから、もう少し寝かせてあげようって言ったじゃないか」

「あー……いや、気にすんなよ。おかげでバッチリ目ぇ覚めたし。
あとおはようさん、マサル」

『おはようー』

「おはようユウヤ、メ……じゃなかった、凪。
それより、お腹空いてない? ママが朝ごはん作ってくれてるから、冷めないうちに下りておいでよ」

「おぅ。身支度整えたらすぐに行く」

ヒバニーと軽い足取りで1階に下りるマサルを見送って、俺も着替えて洗面所へ向かった。

鋭い一撃がおまけだったことは黙っておこう。


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