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「ただいまー! アニキ連れてきたぞ!」

「ただいま、母さん」

「お邪魔しまーす」



お茶を飲みながらホップの母親と雑談していると、ホップとマサルが戻ってきた。

その後ろにはユニフォームを着て、ファーで縁取られたマントを羽織った男の人が立っている。

……帽子も被ってるし、ちょっと視覚情報が多すぎやしないか?

「あら、おかえり。ダンデも今回はゆっくりできそう?」

「あー、それが……。用事を済ませたら、すぐシュートシティに戻らないといけないんだ」

「そう……。忙しいなら仕方ないわね」

"お茶入れ直して来るわ"とホップの母親が席を外す。

ふと、ダンデさんの金色の瞳と目が合った。

「おや、客人がいたのか。話の腰を折って済まなかったね」

「あ、いや……むしろ色々聞いてもらって、申し訳なかったっす」

「この町では見ない顔だが……どこから来たんだい?」

どこからと聞かれて、俺は思わず言葉に詰まる。

俺自身どうやってこの世界に来たのかまるで分からないし、こことは異なる世界から来たなんて話を簡単に信じて貰えるとは思ってないからだ。

そう考えれば、この人たちの母親の場合は良い意味で特殊だったんだろう。

「ユウヤ君って言うそうよ。彼、ポケモンのいない場所から来たんですって」

「ちょっ……!?」

「ポケモンがいない!?」

俺が慌てて待ったを掛けようとするのと同時に、ダンデさんが驚いたような声を上げた。

ホップとマサルの2人も、クリッとした目を更に見開いている。

「き、君はまさか……何も知らないのかい?
ポケモンと一緒に遊んだり、食事をしたり……なによりポケモンバトルをする楽しさを!?」

「まぁ、そういうのとは今まで縁が無かったん……でっ!?」

この世の終わりのような顔をしながら肩を震わせていたダンデさんが、いきなり俺の両肩を掴む。

"ユウヤ君……"と、低い声が俺の名前を呟いた。

「君は絶対ポケモントレーナーになるべきだ!
さぁ、最初のポケモンを決めよう今すぐに!」

「さ、最初のポケモンって言ったって……って力強っ!?」

「あっ、待ってくれよアニキ!」

何故か機器とした表情で外へ向かうダンデさんと、それに引き摺られていく俺。

そして後を追いかけてくるホップとマサル。

そんな俺たちを見て、ホップの母親は苦笑いで肩を竦めていた。



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