03

「カルボウ……。良かった、無事だったのね……!」

人間が小走りで俺の方へ駆け寄ってくる。心の底から安堵しているようでいて、今にも泣き出しそうな顔だった。

傷はもう癒えているというのに、俺のことを心配していたのか?

『……勝手にいなくなったことは詫びる。礼の品を取りに、森の方へ行っていた』

「礼の品?」

コテンと首を傾げる人間に、俺は腕に抱えていた花を差し出した。

初めは木の実にしようかと考えたものの、俺の腕では2〜3個が限度だ。

それに相手はメ……女性なのだ。花の方が喜ぶだろうと思い、摘んできたものだったが……。

人間は微かに目を見開いて、俺の差し出した花を凝視している。……やはり、その辺の花を摘んだだけのものではダメだったのだろうか。

「……ありがとう、カルボウ。とても嬉しいわ」

『礼を言うのは俺の方だ。助けてもらった側なんだからな』

「それでも……ありがとう。あなたを助けられて、本当に良かった」

人間は俺の手から花を受け取り、穏やかに笑う。

そしてその2本の腕が、俺の体を優しく包んだ。

(あぁ……この腕だ……)

俺があの地獄のような日々から逃げ出して、彼女らに会った直後。

気絶した俺を抱き止めてくれた、あの暖かさだった。

俺は自分の母親からでさえも、こんな風に抱き締められたことなんて無い。

"優しさ"というものは、こんなにも暖かいものだったんだな……。

(まるで、陽だまりのようだ……)

この暖かさを、この穏やかな笑顔を。この人の側で守りたいと……強くそう思った。
俺があの地獄のような日々から逃げ出して、彼女らに会った直後。

気絶した俺を抱き止めてくれた、あの暖かさだった。

俺は自分の母親からでさえも、こんな風に抱き締められたことなんて無い。

"優しさ"というものは、こんなにも暖かいものだったんだな……。

(まるで、陽だまりのようだ……)

この暖かさを、この穏やかな笑顔を。この人を側で守りたいと……強くそう思った。


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