01

目が覚めると、俺は来た覚えのない場所にいた。

真っ直ぐな岩壁と、光るキノコ? のようなものが天井からぶら下がっているのが見える。

そしてフカフカとした台座に寝転がされていた。

(どうなったんだ、俺は……?)

物音を立てないように起き上がると、今いる場所の全貌が見えてくる。

俺が寝ていた台座には、少し離れたところでニャオハがコジオに寄り添うように寝ている。

別の位置に置いてあるベッド(であろう台座)では、人間がスヤスヤと寝息を立てているのが見えた。

(……昨日見た人間と、そのポケモンか)

残念なことに、昨日この人間たちを見た後のことをあまり覚えていない。

倒れ込んだところで暖かい何かに支えられた感覚はあったから、おそらく気絶した俺をここへ連れてきたのだろう。



ということは……逃げられたのか、俺は。

あの地獄のような環境から。あの両親から。



台座から下りたところに鏡があるのを見て、今の自分の身なりを確認する。

あれだけ刻まれていた傷はすっかり消えていて、どこからどう見ても健康体そのものだった。

つまり俺は……彼らに助けられたのだ。

(礼を言うべき……なんだろうな)

そう思いはすれど、相手は人間だ。俺の言葉が分かろうはずもない。

ニャオハかコジオに言おうかとも思ったが、気持ち良さそうに眠っているのを叩き起こすのも気が引けて。

ひとまず礼の品を取りに行くため、俺はセルクルタウン近くの森に入っていった。


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