01

全身に強い風を受けながら、ミライドンがセルクルタウンに向けて疾駆する。

腕の中にいるカルボウを見ると、頭部の小さな炎が今にも消えそうに揺らめいていた。

「……ミライドン、もっとスピードは出せない!?」

『悪いけど今のが全速力だよ!』

(お願い、もう少しだけ頑張って……!)

カルボウを抱える腕に力を込め、私たちはセルクルタウンへと急いだ。



やっとの思いでセルクルタウンに戻ってきた私たちは、そのままポケモンセンターへと急いだ。

『見えた! シオン、しっかり捕まってて!
舌噛まないように口閉じといてよ!』

「えっ……キャアッ!?」

突然全身が浮遊感に襲われ、ミライドンがポケモンセンターに向かってスライドする。

キーッ! という耳をつんざくような音を響かせながら、カウンターに横付けした。

あまりの勢いにジョーイさんが悲鳴を上げ、その隣の男性は腰を抜かしたように尻もちをつく。

「驚かせてごめんあそばせ。お願いします、この子たちを助けてくださいな!」

ミライドンの背中から降りて彼をボールに戻し、縋るような思いでジョーイさんに声を掛ける。

彼女は私の腕に抱えられたカルボウに目を止めるとすぐに真剣な表情に戻り、"お預かりします"と言ってイエッサンたちを呼んだ。

佑真とカルボウを預けてカウンターから離れ、教会で祈る時のように手を組んで目を閉じる。

すると遠くの方から"シオン!"という声が聞こえてきた。その出処を探して辺りを見回すと、優慈おじ様が走ってくるのが見える。

「おじ様……!」

「悲鳴が聞こえたから慌てて来てみたけれど……何があったんだい?」

おじ様にそう問われ、私はカウンターの方へ目を向ける。

そこには治療を受ける佑真とカルボウの姿。せめて少しでも早く快復するようにと、再び祈る手に力を込めた。

そんな私を見て、若葉が"きっと大丈夫だよ"と励ましてくれる。

事情を察した優慈おじ様も、"今はプロに任せよう"と言って近くのベンチまで連れていってくれた。


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