03

優慈おじ様と別れて、セルクルタウンの大通りを歩く。

おじ様も明日はハンドメイドアクセサリーのお店を出すらしく、そちらの準備に行ってしまったのだ。

確かに細くて長い指をしていらっしゃるけれど、まさかアクセサリーを自作しているだなんて思わなかった。

(きっと、指先が器用な方なのね。
オリーブオイルにこだわりをお持ちみたいだし、モチーフはやっぱりオリーブかしら……)

背が高くてダンディな声をお持ちのあの方が、小さなアクセサリーたちを作っていると思うと何故か笑みがこぼれてしまう。

いえ、"似合わない"という意味ではなく……。

「シオン、急に笑ってどうしたの?」

「フフッ、少しおじ様のことを考えていただけよ」

私がそう言うと、若葉はプクーッと頬を膨らませる。

そして何故か私の左腕にしがみついてきた。

「若葉?」

「おじ様、おじ様って……。シオンのパートナーは僕なのに」

"優しいのは認めるけどさ"と、どこか不満気な顔の若葉。

え……っと……。これは……どういう状況なのだろう?

助けを求めるように佑真を見ると、彼は何故か"ハァ……"とため息をついた。

『お前の興味の対象があっちに移って、ヤキモチを焼いてるんだろ』

「ヤキモチ……?」

ヤキモチというと、あれのことかしら。

好きな相手が他の人へ好意を向けることに、嫉妬の気持ちを持つという……。

確かにおじ様と出会ってからはずっと彼とお話をしていた気がする。

擬人化した若葉が隣にいたにも関わらず。

私がおじ様とばかりお話をしていることが、"無視されている"と感じさせてしまっていたのね。

「ごめんね、若葉。無視したかった訳じゃないのよ。
あなたは私のパートナー。どれだけの時間が過ぎてもそれは変わらないわ」

「……ホントに? 僕が1番?」

「もちろんよ。だから機嫌を直して?」

ね? と言いながら、若葉の頭を優しく撫でる。

しばらく拗ねた表情をしていたけれど、"じゃあ許してあげる"と笑顔になって。

その隣では佑真が"やれやれ……"と零していた。


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