03

「そうか、アカデミーももうそんな時期なんだね。
じゃあ君はこれから、セルクルジムに挑戦に行くのかな?」

「えぇ、そのつもりです。課外授業の中でこの子たちと色々な思い出を作って、自分だけの宝物が見つかると良いなと思っています」

おじ様と話をしている時間は、とても楽しかった。

彼はとても聞き上手で、私の話にニコニコと笑いながら相槌を打ってくれる。

彼の穏やかな声は自然と空気を和やかなものにしてくれていた。

「ところで、おじ様は何故このエリアに?」

「ん? あぁ、僕もセルクルタウンに用事があってね。
明日、町で開かれる収穫祭に行くんだ」

「お祭り……ですか?」

「そう。セルクルタウンはオリーブの名産地でね。
大昔の"収穫を神様に感謝する祭事"が形を変えながら現代まで残り、今では露店が出るイベントになっているよ」

「へぇー、何か楽しそう!」

「ではオリーブオイルもそこで買う予定だったのですね」

「良ければ君たちもどうだい?
食品だけじゃなくて日用品や工芸品のお店もあるし、セルクルタウンには有名なパティスリーもあるよ」

『オレ行ってみたい! ねぇねぇ、行こうよシオン!』

「そうね……せっかくだし行ってみましょうか。佑真もそれで良い?」

『まぁジムは逃げないしな。少しくらいは羽目を外しても構わんだろ』

若葉もミライドンも気が乗っているみたいだし、佑真も素っ気なく見えるけど気になるみたい。

私もオリーブの工芸品に興味があるし、オリーブオイルもそこで買ってしまおう。

「お誘いありがとうございます。おじ様さえ良ければ、是非ご一緒したいですわ」

「もちろん良いとも。こんなに可愛らしいお嬢さんをエスコートできるなんて光栄だよ」

「……! もう、お上手ですこと」

気恥ずかしさに眉が下がるのを感じながらそう返すと、ハハハと穏やかに笑うおじ様。

その後は他愛のない話をしながらランチタイムを過ごし、ピクニックの道具を片付けて。

気持ちの良い晴天の中、私とおじ様はセルクルタウンに向けて歩き出すのだった。


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