04
「シオン、見つかってホントに良かった! ケガとかしてない!?」
「大丈夫。少し足を捻ったくらいよ」
『いやしっかりケガしてるじゃん!』
若葉たちと合流したことで、空気が一気に賑やかになる。
若干涙目になっている若葉を宥めながら、探しに来てくれたことへのお礼を言った。
「ところで、どうしてネモがここに? ポケモンジムに向かっていたのでは……」
「若葉がスマホロトムで電話してきてくれたんだよ。
その後、空飛ぶタクシーでここまで連れてきてもらったんだ」
「そうだったのですね……。
ありがとうございます。助かりましたわ」
ネモと若葉がゆっくりと私をミライドンの背中に乗せてくれる。これでしばらくは足を動かす必要はないだろう。
ひとまず、お喋りをしながら崖の上を目指すことにした。
「で、シオン。あそこのポケモンはどうしたの?」
若葉の桃色の瞳がドオーとコジオを写す。
私はドオーたちを呼ぶと、若葉たちを紹介した。
「紹介するわね。この子が若葉で、この子はミライドン。
私の大切なポケモンたちよ」
「僕は若葉、種族はニャオハだよ。シオンの最初のパートナーなんだ」
『オレはミライドン。
ちょっと事情があってシオンにお世話になってるんだ。よろしく』
ドオーがぽやんと笑いながら"よろしくぅ"と返す。
コジオはその隣で若葉を凝視してい(ように見え)た。
『お前……本当にニャオハか? 人間の姿にしか見えんぞ』
「あぁ、このカッコだとそうだよね。
ちょっと待って、今ニャオハに戻るから」
息を吐くように擬人化を解いた若葉を見て、ドオーは"わぁ、すごぉい"と呟く。
コジオも"人間に化けるポケモンがいるのか……"と驚きを隠せないみたい。
野生のポケモンでの擬人化は前例が無いみたいだし、この子たちにとっても初めて見る現象なのかも。
『あっ、ねぇねぇシオン。膝の上乗って良い?
走り回ったらちょっと疲れちゃった』
「えぇ、良いわよ」
若葉がピョンと私の膝に飛び乗って、毛繕いを始める。
そしてそのまま前足をふみふみさせると、爽やかな香りが広がった。この香り、やっぱり落ち着くな。
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