01



『ゴメンねぇ。驚いたでしょ?』

「う、うぅん。大丈夫よ」



ドラメシヤたちが姿を消した後、ドオーと呼ばれていたポケモンが声を掛けてきた。

私はというと、彼(?)の姿形にとても興味が湧いていて。まぁるくて大きな体にちょこんとした小さな手足。

皮膚はツヤツヤとしていて、とても気持ち良さそうに見える。

「あ、あの……。不躾なのは分かってるけど、少しだけ触らせてもらっても良いかしら?
お肌つるつるスベスベで羨ましい……」

『やめておいた方が良いと思うよぉ。僕、毒タイプだし』

「毒、タイプ……。あっ、やっぱりやめておきます」

毒と聞いて伸ばしかけていた手を引っ込める。

そういえば、ウパーとドオーは乾燥しないように毒の粘液で体を覆ってるって習ったのだった。

あ、危なかった……。

『ところで、君はなんでこんなところに?』

私はドオーにこれまでの経緯を簡単に説明する。

ついでに若葉たちを見なかったか聞いてみたけれど、彼も見ていないようだった。

「ドラメシヤたちに驚かされた時に、足を踏み外してここに落ちたのだけど……。
その……足を捻っちゃって……」

『あ〜、それで動けなくてここに座ってたんだぁ。ゴメンねぇ、後でちゃんと言っておくから』

「うぅん、気にしないで。私がボーッとしてたのも悪いし、あの子たちもちゃんと謝ってくれたから」

慌ててドオーにそう言うと、彼は"そう? 君は優しいねぇ"と目を細めた。

ぽやんとしたその表情がジニア先生の雰囲気にすごく似ている気がして、思わず私も笑みがこぼれる。

『でも、この崖の上かぁ。戻ろうと思ったらかなりの遠回りになるし、ひとまずそこの洞窟に入ろう。
足の痛みが引いたら、上に戻る道を案内してあげる』

「良いの? ありがとう、ドオー」

『人間もポケモンも、困った時はお互い様だよぉ。コジオもそれで良い?』

『聞かれなくてもそのつもりだ』

静かに……でもハッキリとそう言って、コジオは私たちに背を向けて移動を始める。

そして洞窟に入ると、すぐに"席を外す"とどこかに行ってしまった。

そんな彼を見たドオーは、"素直じゃないなぁ"と笑う。

『そういえば自己紹介がまだだったよねぇ。
僕はドオー。このエリアの沼地に住んでるんだぁ』

「あっ、ご丁寧にどうも……。私はシオン。
テーブルシティにある、グレープアカデミーに通っているの。よろしくね」

『うん、よろしくぅ。……ねぇ、初対面の君にこんなこと聞くのもどうかと思うんだけどさ。
君はあのコジオのことをどう思う?』


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