04
「着いたー! ここがテーブルシティだよ!」
「わぁ……!」
多くの人やポケモンが行き交い、子どもたちのはしゃぎ声が聞こえてくる。
道中でネモからパルデア地方最大の都市だと聞いていたけれど。
この賑わいを見れば誰でも納得するだろう。
「ここは昔から交易が盛んで、新しい技術や知識を求めてたくさんの人がやってくるの。
他の地方出身の人もいたりするんだ」
「なるほど。パルデア地方の要なのですね」
「ブティックや美容院、お惣菜の美味しいお店もあるよ。
シオンは何が気になる?」
「そうですね……。強いて言うなら、ブティックや美容院でしょうか」
「へぇ、オシャレさんなんだね!」
"私はデリバードポーチによく行くんだー"と笑うネモ。
バトル好きの彼女のことだから、バトル関係の買い物をしに行くのかしら。
「あ、デリバードポーチで思い出した!
シオンにもテラスタルオーブ使って欲しいんだったよ!」
"テラスタル"……その言葉に、私は思わず反応する。
あのことは秘密にしてもらわなければならない。何故か強くそう思ったのだ。
「ネモ! ……あの……さっきのバトルでのことは、どうか内密に」
「分かった、誰にも言わない。私とシオンだけの秘密だね!」
彼女の言葉を聞いて、ホッと胸を撫で下ろす。
「テラスタルオーブを使うためには手続きが必要だから、私が代わりにしてあげる。
朝のホームルームまで時間があるから、シオンは街を見ておいでよ」
「では、お言葉に甘えて」
ここで一旦別れてネモは一足先にアカデミーへ、私はテーブルシティを見て回ることになった。
「本当に大きな街ね」
『僕はよくクラベル先生とお散歩してたなー』
若葉をボールから出し、テーブルシティの街並みを歩く。
ミライドンも出たがっていたけれど、今は我慢してもらった。
ネモが彼のことを知らなかったことを考えれば、未知のポケモンであろうことは想像に難くない。
悪目立ちを避けるためにも、ボールにいてもらうのが得策だろう。
『へぇ、人間ってみんな白衣着てるんじゃないんだ?』
「白衣は研究者や学者、医療関係者がよく着ているかしら」
『ジニア先生も着てるよね』
"ポケットに色んなもの突っ込んでるけど"という若葉の言葉につい笑ってしまった。
地図アプリの音声案内を聞きながら歩くと、ネモと別れた場所まで戻ってくる。
(そろそろアカデミーに向かった方が良いかな……)
アカデミーへ繋がる道を見据えると、長い階段が見えてくる。
生徒たちの間で名物とされているらしい階段の下で深呼吸をする。
"……よし"と小さく気合を入れ、1歩ずつ自分の脚で上がっていった。
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