02

「あ、門が見えてきたよ!」

ネモの言う通り、前方に大きな門が見えてくる。

スマホロトムの地図アプリを見ると、テーブルシティと表示されていた。

「この門の先がテーブルシティ。グレープアカデミーもすぐそこだよ!」

「い、いよいよですね……」

期待もあるけれど、どちらかと言えば不安の方が少し大きかった。

新しい友達はできるのかとか、講義についていけるのかとか……悩みは尽きない。

「……よし、シオン。今からバトルしよう!」

「えっ、今から……ですか?」

「そんなにガチガチだと疲れちゃうでしょ?
バトルすれば緊張も解れるかもだし、さっそく戦ろう!」

「え、えぇ……」

ネモに手を引かれるまま、門からある程度離れた場所に移動する。

バトルをするのはもう決定事項のようだし、私も諦めて彼女の誘いに乗ることにした。

「私はこの子で行くね。さぁ行くよ、パモ!」

『はぁい。シオンもよろしくねぇ』

「お願い、若葉!」

『僕も頑張るからね、シオン!』

今回の相手はパモ。図鑑アプリを確認すると、"電気タイプ"と表示された。

草タイプの若葉との相性はどうなのだろう?

「若葉、電気タイプは苦手?」

『特別有利ってわけじゃないけど、苦手でもないかな』

「そう……」

それなら弱点を突かれることも無い……のかな。

「今回は私たちから行かせてもらうね。パモ、スパーク!」

パモの体から放出された電気が、若葉に向かって飛んでくる。

最初のバトルの経験上、相手の技にこちらの技をぶつけても問題は無かった……はず。

「若葉、木の葉!」

『どっちが勝っても恨みっこ無しだよ!』

若葉の放った木の葉が上手く電気へぶつかり、相殺させることに成功する。

次に噛み付いてパモの体力を削ると、ネモがポケットから何かを取り出した。

「よーし、私のとっておき使っちゃう!」

「とっておき?」

そう言って彼女が取り出したものは黒い球体だった。

大きさは似ているものの、色から見てモンスターボールでは無いことが分かる。

「行くよ、パモ! テラスタル!」

その言葉と同時に球体へ光の粒子が収束していく。パモに向かって投げられたそれが眩い光を放った。

弾けた光が収まると同時に目を開けると、目の前には宝石のように輝くパモの姿があった。

それに加えて大きな電球のようなクリスタルが頭の上に乗っている。

『えっ、何あれ!?』

「パ、パモが結晶化した……?」

「これがパルデアでしか見られない、ポケモンのパワーアップ方法・テラスタル!
電気タイプの技の威力が上がってるから気を付けてね!」

"聞いてないよ!"と若葉が大声を上げる。

それを見たネモが、"お? やる気十分だね、ニャオハ!"と笑顔になる。

いや、あの……やる気が上がった訳ではないのですが。

『ごめんねぇ。ネモってバトルになると、いっつもこうだから』

パモが心底申し訳なさそうにそう言ってくれる。

どうやらネモは、ポケモンバトルのことになるとハイテンションになってしまうようだ。

とにかく今はバトルに集中しなくてはと意識を切り変えた時、突然私の体に光の粒子が集まり始めた。


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