04
「さて、シオンさん……。どの子をパートナーにするかは決まりましたか?」
クラベルさんの声を合図にしたかのように、ニャオハたちが私の目の前に並ぶ。
私を見つめるその瞳は期待に満ちて、キラキラと輝いていた。
「どの子も魅力的で悩みましたが……この子に決めました」
私は自分の選んだポケモンの前でしゃがみ込み、その子を抱き上げる。
「あなたは今日から私のパートナーです。仲良くしましょうね、ニャオハ」
『本当に!? やったー!』
ニャオハがニコーッ! と笑いながら頬ずりしてくれる。
彼が頬へ肉球を押し付けてきた時に、私の中で"この子だ"と心に感じるものがあったのだ。
ショックを受けているホゲータとクワッスには、とても申し訳ないけれど。
「ニャオハさんもシオンさんを気に入ったようですね」
「シオン、ニャオハを選ぶなんてさ……。
すっごく似合ってる! バランスも良いもんね!」
「ば、バランスですか……?」
よく分からないけれど、似合ってると言われたのは素直に嬉しかった。
「初めてのポケモン、大切に育ててくださいね。
ポケモンはこの"モンスターボール"という道具に入れるのですよ」
そう言ってクラベルさんが取り出したのは赤と白の丸いボール。
ゴルフボールくらいの大きさだったそれは、真ん中のボタンを押し込むと手の平サイズにまで大きくなった。
とはいえ……。
「あの……。この子の体格に合っていないような……」
「大丈夫だよ。どんなに体の大きなポケモンだって、ちゃんと入ってくれるから」
「実際にやってみた方が早いでしょう。
シオンさん、ニャオハさんにボールへ戻るよう指示を出してみてください」
ニャオハに向かってボールをかざすんだよ、というネモさんの言葉に従ってボールを手に持つ。
"ニャオハ、戻って"と私が言うのと同時に、赤い光に包まれたニャオハがモンスターボールに吸い込まれていった。
「ほ、本当に入っ……!? ……あの、外に出してあげるにはどうしたら!?」
「落ち着いて、シオン。モンスターボールを投げるか、出てくるように指示すれば良いよ。
投げたボールは自動で手元に戻ってくるから、顔にぶつけないようにね」
「は、はい……。出ておいで、ニャオハ」
ポイッと軽くモンスターボールを投げると、白い光が弾けてニャオハの姿が現れる。
そしてネモさんの言っていた通り、モンスターボールは真っ直ぐに戻ってきて私の手に収まったのだった。
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