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「さて……。シオンさんの入学については良しとして、問題は当面の宿ですね。
他の地方のトレーナーは、ポケモンセンターに宿泊するのが一般的だそうですが……」

"パルデアのポケモンセンターはスタンド式ですからね"と、再び難しい顔をしたクラベルさん。

もしかして、このまましばらく野宿なのかしら……。

「あ。そういえばクラベル先生、ネモさんのお宅を訪問するんですよねぇ?
とりあえず1度頼んでみてはどうですかぁ?」

「ネモさん?」

知らない名前が飛び出して来たことに首を傾げると、クラベルさんはどこか納得したような顔をした。

「そうですね……。シオンさんは女性ですし、その方が良いかもしれません」

「優しい子ですから、嫌とは言わないと思いますよぉ」

"むしろすごく喜ぶかもぉ"と顔を綻ばせるジニアさん。

話を聞くに、その"ネモさん"という人は女の子らしい。確かに同性の人がいる方がありがたかった。

「分かりました、彼女には私から頼んでみましょう。
それとシオンさん。私はあなたに、ポケモンと触れ合う楽しさを知って欲しいと思っています。
彼らのいない世界から来たというのであれば尚更です。
そこであの3体の中から、あなたのパートナーとなるポケモンを1体選んでください」

「え?」

クラベルさんに声を掛けられた3匹が元気良く走ってくる。

緑色の体に桃色の目をした子、赤い体と短い手足で大きな口元の子、そして白い体に水色の前髪(?)が特徴的な子だった。

「左から順に草タイプのニャオハさん、炎タイプのホゲータさん、水タイプのクワッスさんです」

「草タイプ……炎タイプ……水タイプ?」

聞き馴染みのない単語に首を傾げている私を見て、ジニアさんが簡単に説明してくれる。

ポケモンは種族ごとにタイプが決まっていて、18種類のタイプのどれかに分類されているらしい。種族によっては2つの複合タイプの場合もあるのだとか。

「詳しい説明はアカデミーの授業でやりますから、まずは君のパートナーを選ばないとですねぇ」

「え、選べと言われましても……」

そもそもどんな生き物で、どんな性格をしているのかも分からない子たちだ。

直感で選ぶよりは、ちゃんとその辺りを知ってから選びたい。

「ふむ……最初のポケモンは、なかなかすぐには決められないものです。
私は先にネモさんのお宅へ行っていますので、シオンさんはその子たちとゆっくり追い掛けて来てください」

"では、また後ほど"と言って、クラベルさんはネモさんの家へ向かった。



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