05

「ふむ……。
自分の部屋にいたはずが、気が付けばここにいて……帰る方法も分からないと」

「はい……」

私は意を決して、今の自分の現状を彼らに話した。

自分が別の世界から来た人間であることや、変える方法が分からないことも全て。

元の世界にポケモンがいないことを話すと、2人ともとても驚いていたけれど。

それはひとまず置いておくことになった。

「それは、ご家族も心配してるでしょうねぇ」

「えぇ。ですが帰る方法が分からないとなると……。
ポケモンのいない世界から来たということですし、私たちではどうにも……」

ジニアさんとクラベルさんが揃って難しい顔をする。

(困ったことになってしまったわ……)

仮にこちらの世界で暮らすにしても、私は今何も持ち合わせていない。

服も今来ている制服しかない上に、この身一つで放り出されたのでお金なんてある訳もなく。

するとジニアさんが"あっ!"と声を上げた。

「それなら、僕たちでシオンさんをサポートするのはどうですかぁ?」

「サポート、ですか……」

「元の世界に帰る方法を見つけるまでの間、シオンさんをグレープアカデミーの生徒として迎えるんですよぉ。
幸い、寮にまだ空き部屋はありますからねぇ」

「なるほど、確かにそれは良案です。流石に右も左も分からない彼女を放っておくことはできませんからね」

「そうでしょぉ? 帰る方法を探しつつ、パルデアの良い所もいっぱい見つけてくれると嬉しいなぁ」

「ですが、良いのでしょうか……?」

雨風を凌げるのは素直に嬉しいけれど……。

私は家事をしたことが無いし、そもそも素性の分からない人間をこうも簡単に入学させられるのだろうか?

そんな私の心配を他所に、クラベルさんは"ご心配なく"と笑う。

「入学の手続きは私で進めておきます。
それにどこの世界の生まれであっても、あなたが未来ある若者である事実は変わりません。
我々グレープアカデミーはあなたを歓迎しますよ」

「そこまで言っていただけるのであれば……。よろしくお願いします」

こうして私は、パルデア? のグレープアカデミーに入学することになったのだった。



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