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楽しい話題に切り替えたおば様と少し雑談をして、その後は他の露店を色々と見て回った。

オリーブの木を使った食器のお店や工芸品のお店、チュロスやアイスクリームといった食べ物を売っているお店も見掛けた。

漂ってくる良い香りに、若葉のお腹がクゥゥゥ……と鳴るのが聞こえる。

「ねぇシオン、僕お腹すいちゃった」

「そういえばもう時期お昼ご飯の時間ね。せっかくだからパエリアを食べましょうか」

全員で連れ立ってパエリアを売っているお店に向かう。

人数分のパエリアを注文したところで、はたと気付いたことがあった。

(そうだわ、おじ様のお食事も買っていった方が良いかしら?)

朝からずっとお店にいるのだし、お客さんが来ればその場を離れられない。

大皿料理よりは、片手間に食べられるものの方が良いわよね。

「すみません。この、ピンチョスのセットも1つ」

「あいよ!」

『マスター、ピン……チョス? とはどのような料理なのでしょう?』

「ピンチョスは薄くスライスしたパンに、少量の食材を乗せて串を刺した軽食のことよ。
優慈おじ様に差し入れをしようと思って」

『ですが、それならパエリア? を一緒に食べれば良いのでは?
わざわざ別のものを用意せずとも……』

「お店というのはね、お客様がいついらっしゃるか分からないものなのよ。
接客している時はお食事の手も止まってしまうから、小休憩のついでにサッと食べられるお料理の方が良いと思ったの」

『なるほど、優慈殿の状況を考慮してのことだったのですね。
そこまでお考えだったとは流石です、マスター』

お会計を済ませて、お店の近くで待つこと数十分。

できたてのパエリアとピンチョスを受け取って、私たちはその近くの公園でレジャーシートを広げた。

「美味しそう〜!」

「えぇ、シーフードの良い香りだわ」

『早く食べようよ! オレもうお腹ペコペコ!』

「お前は少し落ち着け。取り分けてやるから待っていろ」

お店の人に付けてもらった紙皿とスプーンを配り、佑真がパエリアを取り分けていく。

その隣にお行儀良く座って待っているミライドンが見えて、微笑ましくなってつい笑ってしまった。


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