01


「…………はぁ」
『…………はぁ』


片や飛行機の搭乗口から出てきた私の口から、片や私の腰に付いているボールの中から。お互い息が揃ったため息が流れた。


「楽しみじゃの、ハル!ひねくれ化け狐は何故ため息など吐く!」
『俺とこいつに対する態度の違いはなんなんだ』
「……翠姫らしいね」


その中で唯一、私の手を取り嬉しそうにはしゃぐ翠姫だけが楽しそうにしていた。ガヤガヤと沢山の人が行き交うこの場所は正直言って苦手だし、人酔いする。今私たちのいる場所はシンオウ地方のコトブキ空港。早くこの場所から離れたい一心で、目的の人物を探す。


「……いた」


空港内にセットされているナエトル・ヒコザル・ポッチャマの像が可愛らしい噴水広場の前でソワソワとしている私と真逆の黒髪を靡かせた彼女の姿。「ユイー!久しぶりじゃの!」と翠姫が真っ先に駆け寄って、ユイが驚いた様子で抱き留めた。


「わっ、今日も可愛いね翠姫ちゃん!……あっ、ハルもいらっしゃい!疲れなかった?」
「……人気が多くて今すぐ帰りたい」
「あっはは……ようこそ、シンオウ地方へ〜!」


腕を大きく広げ、ガイドのようなことを言っているユイ。何をやってるんだかという意味を含んだ目で見つめ、周りを見渡す。すれ違う人たちが連れているポケモンはマメパトやミネズミとはまた違う、ビーバーやムクドリのようなポケモンだった。……うん、やっぱりイッシュでは見かけないポケモンばかりだ。


(……まさか私がこんな所まで来る羽目になるなんて)


事の始まりはそう、あの子たちとサンヨウシティで出会ったあの日に遡る。



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