04

あれから30分程時間が経った。私は大満足な表情を浮かべ、ふれあい広場に向かっている。その隣には原型に戻って恥ずかしそうにしている緋翠と紅眞、のほほんとしている白恵がが並んで歩いていた。


「か、可愛い……やっぱりこの直感は間違ってなかった……!最高……ハロウィン、サイコー……!」
『少々この格好は恥ずかしいのですが……でも、マスターが喜んでくださるのならこの程度の羞恥……くっ……』
『がおー』
『てか、なんで俺たちが仮装してるんだよ!』


そう。ポケモンサイズのムウマージの衣装をキルリアの緋翠に、フワライドの衣装をワカシャモの紅眞に、バケッチャと呼ばれるカボチャみたいなポケモンの着ぐるみを白恵に着てもらっているのである。だって他のメンバーだと断固拒否か人前に出られない〜とかで着せられないんだもん。
まさか本当にポケモンサイズの衣装も置いてあったなんて……グッジョブコンテスト会場!ナイスアイデア私!自分の仮装をすっかり忘れていたけど、どうせ碧雅と晶にバカにされる未来しか見えないから仮装しなくて良し!


『トサカ頭やマメ助はともかくひっつき虫は原型が人間に近い分、似合っているんじゃないか?……はっ』


ほら、晶もボール越しだけど3人の仮装に珍しい反応示してるし。鼻で笑ってるけども、失礼だけども。


『…………。』
『無言の微笑みで圧をかけるのはやめろ』
「フワライドはやっぱり無理あったかなぁ?でもポンチョ着てるみたいで可愛い〜!」
『男に可愛いって言うな!白恵、お前も何か言ってやれ!』
『がおー』
『以前手伝ったカフェの時もそうだったが、お前の“ぼきゃぶらりぃ”はそれしか無いのか』
「可愛いから良いんだよ」


プンスコしている紅眞の頭を璃珀が普段しているように撫でると、子ども扱いすんなと更に異議を唱える。でも残念、そんな格好で言われてもちっとも怖くない!


『ちぇー……。どうせならゾロアークみたいにかっけぇのが良かった』
「ゾロアーク?」
『図鑑を開いてごらん、ご主人』


聞いたことのない種族にクエスチョンマークを浮かべながら言われた通りに図鑑を開くと、黒い身体に映える真紅のたてがみが印象的な、しなやかなポケモンだった。なるほど、ちょっと狐っぽいし確かにかっこいい。


「……どこかで、見たような……?」


妙な既視感に襲われていると、紅眞が突然私の背に何かを被せてきた。


『仕返しだ、喰らえ!』
「……?何このもふもふ」
『失礼いたします、マスター!』
「ぼ、帽子!?」
『とりゃー』
「白恵にビンタされた!?」
『ユイもちゃんと仮装しろよな!』


紅眞に茶色いもふもふしたローブを着せられ、緋翠に耳のついた帽子を被せられ、白恵にはほっぺに星のペイントシールを貼られてしまった。


「えぇ!?いつの間にこんなの持ってきてたの!?」
『へへっ、ムウマージたちに渡されたんだ!』
『バレないように空の上に浮かばせながら運んで正解でしたね』
「何その高等技術」


道通りにあるお店のガラスの前に立ち姿を確認してみると、その姿はまるでイーブイ。


「なんじゃこりゃ」
『ユイちゃんもポケモンになっちゃったー』
『お似合いですよ!』
「恥ずかしいから脱いじゃダメ?」
『俺たちも脱いでいいならな』
「…………我慢する」
『そこは良いって言えよ!』


なんて、紅眞のツッコミが響いた。


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