06


花見場所から距離を離し、私たちは森の中へ向かった。そこで開けた場所を見つけたので互いにトレーナーバトルのように向かい合う。


(幸矢を巻き込んでしまったな)


流石に私たち2人だけはと幸矢が着いてきてくれた。思えば彼は手先が器用なこともあり、様々な出来事に毎回少なからず貢献している気がするな。俗に言う巻き込まれ……苦労人体質なのだろうか。今晩は幸矢の好物を中心に献立を立てるか。

さて、余計な考えは今は無用だ。目の前のこのチルタリス……晶に勝たなくては。


「先攻はどうする」
「そうだな……この葉。これを上に投げ、地面に落ちた瞬間に互いに攻撃を開始する。それでどうだ」
「分かった。なら投げるのは幸矢にお願いしてもいいか」
「……俺しか適任がいないだろう」


私たちが原型に戻ったのを見届けた幸矢が頷き、行くぞと葉を空へ投げる。ひらひらと風に舞うそれが音も立てず、不規則な動きを続け…………漸く地に着いた。先に攻撃を繰り出したのは素早さの関係上、私だった。


(まずは様子見だ)


口から放たれる灼熱の放線。炎の威力はとどまることを知らず真っ直ぐ晶に向かうが、晶は落ち着いた態度で羽ばたいた。続けて口から放たれた白いモヤがチルタリスのシルエットを覆い、それはかえんほうしゃもボヤけさせる。視界が白に囲まれ、技が命中したかどうか分からないが……恐らく不発だろう。しろいきりは本来能力弱体を防ぐ技だが、使い用によっては目くらましの効果もあったか。


『この程度なのかガブリアス』
『っ……! そんなことは無い』
『そうか。……だが背後ががら空きだ』


背中に浴びる鋭い衝撃。そして体の奥にまで響くダメージ。思わずよろめくが踏ん張って耐える。これはドラゴンクロー……抜群技を喰らってしまったか。だが私も負けてはいられない。
種族特有の素早さにドラゴンダイブの威力も加わり、霧を瞬く間に晴らす。その勢いのまま狙いをつけドラゴンダイブが晶に命中した。空中に飛ばされるが即座に姿勢を整える。だが向こうも効果抜群技は痛手だったようだ、僅かによろめきながら飛んでいる。


『お前こそ、その程度なのか』
『っ! 面白い……!』


売り言葉に買い言葉。互いに挑発し合ってのバトルは続く。私が攻撃を重視し高威力技で攻め込む剛とするならば、向こうは技を受け流しスキをついて攻め立てる柔と言うべきか。一進一退の攻防は続き、ドラゴン技で攻め立てるのはリスクが高いと感じた私は地形を利用しにかかった。


(向こうも思惑は同じか)


じしんとだいちのちから。2つの大地のエネルギーがぶつかり合う。その衝撃に地面は悲鳴を上げ、木々は根元から倒れ伏す。……流石にやりすぎたか。


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