05


「ボーマンダにガブリアスがいると聞いて試しに来てみたが……期待しただけ無駄だったな」
「……何?」


あれ、なんか不穏な空気。晶君は誠士たちを見やり、ため息をひとつ吐く。


「仲間となかよしこよし浮かれてる連中に用はない」
「おいアンタ、その言い方はあんまりじゃないか?」
「何故だ? 僕たちはポケモンだろう。人間の真似事をして何になる。……せっかく恵まれた力を持ってるのに、宝の持ち腐れじゃないか」
「……私はともかく、勇人はバトルに対して意欲的だ。今日は久々にユイたちに会え、勇人も花見を優先しているだけのことだ」

「……ね、ねえユイ。なんかあそこだけ空気怖いんだけど」
「……わ、私もそう思う。晶何を言っちゃってるんだろう……」


いざという時は私があそこに入るってユイが言ってるけどいやいや危ないよ一触即発の雰囲気じゃん!


「アンタにも何か事情があるのは察する。だが今はあのトレーナーのポケモンであり仲間だろう。そういうアンタこそなかよしこよししてるじゃないか」
「僕らの本分は戦闘だ。アイツらとはただの一時的な付き合いに過ぎない」
「っ……おい、アンタいい加減に」
「訂正しろ」


普段よりも低い誠士の声。その声色には明らかに怒りが含まれていた。


「お前はユイの仲間なんだろう。その言い方はあまりにも失礼だ。今すぐ訂正しろ」
「ハッ。お優しいことだな、ガブリアス。自分の仲間だけではなく、僕の“仲間”まで気にかけてくれるとは」
「……友人ならば当然だ」


誠士の拳がワナワナと震えている。だが距離も離れているこの場所では他で花見を楽しんでるメンバーたちは気付く様子はない。


「お前に勝負を申し込む」


それは普段の誠士からは想像もつかない発言だった。


「お前が負けたら先程の発言を訂正しろ。だが私が負ければ、お前の発言に対してこれ以上異議を唱えない」
「……本気か、誠士」
「ああ、このポケモンは、ポケモンの本分は戦闘だと言った。余程腕に自信があるんだろう。……吹っ掛けたのはこちらだ、ここは私が出るべきだ」
「……分かった。そういえば、アンタの種族と名前を聞いてなかったな」
「……晶。種族はチルタリスだ」
「ここでは人気が多い。移動しよう」


そう言い3人は人気の離れた所へ移動して行った。……って冷静に言ってる場合じゃないよ!


「ちょ、ユイどうしようあれ完全に喧嘩だよ!?」
「ど、どどどうしようあの誠士君があそこまで怒るなんて……! うわあぁぁ謝っても許されるとは思えない」
「まずはユイが落ち着いてね」


途中私たちが乱入しようと思ったけどとてもじゃないけど出来なかった。あそこだけブリザードが吹いてるみたいに冷たかったし重い空気で……でもあの時、気になることがあった。


(誠士がバトルを申し込んだ時……晶君、)


一瞬だけ、笑ったような?


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