03


予定していた花見当日。天気は晴れ、今日は絶好の花見日和だ。マサゴタウンのPCに宿を取った私は目を覚まし、リビングに向かう。


「ふわぁ〜……おはよーみんな」
「レイナ、おはよー!」
「珍しく一人で起きたんだな」
「笑理に幸矢、おはよ。そりゃ今日は待ちに待ったお花見だからね」


それに久しぶりにユイたちにも会えるし、ワクワクして早く起きちゃったのもある。普段クールな幸矢も「アイツらも来るのか」と少し心待ちにしてるみたいだし。誠士の用意した朝食と來夢の入れてくれたモーモーミルクを飲んで朝のエネルギー補充は完了だ。


「待ち合わせは研究所だよね?」
「うん、前と同じ場所だって」
「よっしゃー! 食うぞ!!」
「勇人、“花見”なんだからね!」


ガヤガヤと今日も賑やかに会話を繰り広げながら待ち合わせ場所に向かう。マサゴタウンの桜の名所は今年も見事に満開で、博士たちがレジャーシートを広げて準備してくれていた。


「おおレイナ君。今日はよく来てくれた」
「ナナカマド博士、お久しぶりです。今日は誘ってくださってありがとうございます!」
「うむ。今日は存分に桜を堪能しよう。ところでユイ君はまだかね」
「えっまだ来てないんですか?」


そろそろ時間だし、ちゃんと来るって言ってたけど。そう思った矢先、遠くからユイの声が聞こえてきた。走ってきたみたいで息が若干切れている。


「すみません、遅くなりました!」
「ユイ、久しぶり!」
「ウォッホン!よく来たな、ユイ君。元気そうでなによりだ」
「お久しぶりですナナカマド博士。レイナも久しぶりだね!」


良かった、間に合った! 全員揃ったことを確認した博士達が飲み物を配り、乾杯の音頭と共に花見が始まる。私達もボールを投げ、お互いの仲間が出て人型になる。それぞれ再会を噛み締めてる中、見慣れぬ子が2人いるのが見えた。あの2人がユイの新しい仲間なのかな?


「紹介するね。こっちの白い小さな子がトゲピーの白恵。向こうの木に寄りかかってる水色のポニーテールがチルタリスの晶」
「ぼく、白恵。ユイちゃんがいつもおせわになってます」
「なんかお母さんみたいなこと言ってるぅ!?」
「よろしくね、白恵君! 晶……ちゃん? もよろしく!」
「…………」


あれ、睨まれちゃった。慌てた様子のユイが晶君が男の子だということを教えてくれた。


「うっそごめん! 初対面で失礼なこと言っちゃって」
「……別に構わん」
「いやーでも間違えちゃうのわかるよ。ほら見て、晶のまつ毛長いんだよね! あと髪もサラサラだし羨ましいよね!」
「っ、こんな時にも近づくんじゃないちんちくりん女!」


ち、ちんちくりん!? そんな晶君をものともせず介入してるユイがある意味凄いぞ……。


「ふぁえ?」
「焔、ちゃんと口の中の食べ物飲み込んでから喋ってね」
「ふぁーい。……この子、誰?」
「トゲピーの白恵君だって」
「わぁ〜。おにいちゃんのほっぺ、すごいねえ」


食べ物をホシガリスのように頬張っている焔のほっぺが面白いのか、むにむにと触っている白恵君。擽ったいよと焔が笑いながら來夢と笑理の待つスペースに向かっていった。


「わっ、君誰?」
「ユイの仲間の白恵だって。トゲピーらしいよ」
「あたしよりちっちゃーい!」
「……ぼく、ちっちゃいと、いいことあるの?」
「そうじゃなくて、笑理より小さい子ってなかなかいないから珍しいんだよ。……あ、私はランクルスの來夢」
「あたしパチリスの笑理! なんか弟ができたみたい!」
「えっと、えみりちゃん、らいむちゃん。あと……ほむらちゃん、あってる?」
「あってるけど、ちゃん付けって僕初めてされたよ」


ホワホワとマイナスイオンが放たれた和やかな空間があそこにはある。
……ピュアトリオ+白恵君=癒しスポットの方程式が成り立った瞬間だった。


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