02


「ユイの話によれば勇人と誠士、進化したんだろ? 久々に会いてぇな!」
「……ゆうと? せいじ?」


ホットミルクの入ったマグカップを持ちながら白恵が首を傾げてる。白恵も初めて会うんだもんね。比較的歳の近い、レイナ命名ピュアトリオたちと仲良くなってくれると嬉しいな。


「レイナっていう友達のポケモンだよ。勇人君と誠士君は前に会った時はコモルーとガバイトだったんだけど、最近進化してボーマンダとガブリアスにーー」


なったんだって。


その先の言葉は口から出てこなかった。何故なら晶が先程までの表情を消し、目を見開いて私を見つめたから。そして徐々に目が細くなる。口元が微かに笑ってるけど目が笑ってない。怖い。


「…………ほぉ」


あ、ヤバい。これはヤバイぞ。晶は昔、実質フカマルと入れ替えになる形で捨てられたのに。


「……良いだろう。主、その花見はいつの予定だ」
「え!? み、3日後だけど……?」
「了解した」


そう言うとスタスタと部屋を後にしてしまった。しんと静まり返ったPCの室内で、みんなが詰め寄る。


「おいどうすんだよ。あれ完全に晶の地雷踏んでなかったか。やばいじゃん」
「彼も当時の事とは無関係だと理解してるだろうけど、捨てられる決定的なきっかけはフカマルだったからね。進化系であるポケモンに何の感情も抱かないとは限らない」
「ええ。……一瞬、驚愕の感情が読み取れました。以前のような怒りは見られませんでしたが……」
「僕らがあれこれ悩んでても仕方ないよ、当人の問題なんだから」


そりゃそうなんだけど、晶は私たちの大事な仲間なんだから心配なんだよ。それにレイナたちにももしものことがあったら申し訳ないし、悪いけどやっぱり断った方が……。


「だいじょうぶだよ」


ごちそーさまでしたとミルクを飲み終わった白恵が一言そう言った。


「あっちゃんなら、だいじょうぶ」


白恵のその顔は無表情だけど、目は安心するよう訴えている。瞳を見つめ、不思議と私もそれにつられ大丈夫だと徐々に落ち着いてきた。確かに、まずは私たちが晶を信頼しないと話にならないよね。


(いざと言う時は私たちが止めに入ろう)


レイナに再び連絡を取り、私は行くと返答をしたのであった。


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