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《今回のポケモンなりきり大会の入賞者の発表を致します!皆様今年も素晴らしいなりきりの数々でした!》


では早速、優勝者からーー


もしかすれば、一縷の望みをかけ手に力を入れた。


《ーーーー優勝は、リョウタさんのバリヤードのパーフェクトトレースです!》
「…………ダメだったか」


誠士の少し残念そうな声が響いた。


「仕方ないね、ほぼ飛び入りで参加したようなものだし」
「でも私達の中では、笑理とレイナが一番だよ」
「そうだぜ! 寧ろ飛び入りであそこまでのクオリティだったんだ。他の奴らにも負けてなかったと思うぜ」
『……ごめんね、幸矢。せっかく作ってくれたのに』
「アンタが謝ることは無いだろ」
「イッシュのポケモンになりきってインパクトを得ようと思ったけど……そもそもイッシュのポケモンに馴染みがなかったらどれだけ似てるのか分からなかったかもね」
『確かにそうかも……』
《ではお次に、優秀賞の発表に移りたいと思います! 優秀賞はーーーーレイナさんのパチリスで、天真爛漫なチラチーノです!》


…………え?
言われたことに理解が追いつかず、思わず瞬きを繰り返した。


「おい! やったじゃねえか笑理!」
『ゆ、優秀賞……?』
「すごいよ……!」
「やったね笑理!」


まさか優秀賞に入れるなんて! 幸矢の衣装のクオリティと笑理のパフォーマンスの双方が合わさった結果だろうな!


「レイナ!」
「え、ナオト!?」


興奮した様子のナオトとその後ろからニヤニヤ笑いを浮かべながら緋色君がやって来た。ナオトに至っては若干息が切れている。急いでやって来たの?


「コイツ、レイナ達が優秀賞を取ったって発表を見て一目散にお前のところに向かったんだぜ」
「友人が大会で入賞したんだ。喜ばない理由が無いだろう。……おめでとう、レイナ」
「頑張ったのは笑理に幸矢だけど……ありがとう」


……な、なんかナオトに微笑まれて祝われるのはどこかむず痒いな……。
その後全ての発表が終わり、入賞者には景品が渡されるみたいで再びステージの中へ。私と笑理のペアには、可愛いペアリボンがプレゼントされた。

無事大会も閉会式を終え、会場で余韻に浸りながら皆と喜びを分かち合う。今日はお祝いに笑理の好きなケーキを作ってあげようかな。あと夕飯は幸矢の好きなおかずにしてもらおう。


「あの、すみません」


談笑していたところに突然マイクを持った女の人に話しかけられた。女の人の後ろにはカメラマンがいて……ま、まさか。
「わたくしテレビコトブキの者なのですが、今お時間よろしいでしょうか? あなたは優秀賞を獲得されたレイナさんですよね? お時間があればインタビューをさせて頂きたいのですが……」
「はーい! 喜んで!」
「って笑理!?」


早速擬人化してインタビュー受けてる!? 衣装を作った幸矢もいつの間にか捕まってるし! この順番なら次は……と青ざめているとインタビュアーの目線はいつの間にか隣にいたナオトの方へ。私とナオトを交互に見て、何か勘違いをしたらしいインタビュアーは微笑ましい表情を浮かべた。


「なるほど、そういう事でしたか。おふたりの邪魔をしてしまって申し訳ありません。レイナさん、この度は優秀賞受賞おめでとうございます。素敵な彼氏さんに祝われて良かったですね!」
「か、彼氏!?」


いやいやいや! 全力で違うことを伝えナオトにも同意求めるとナオトは顔が若干赤くなりながら「か、彼女とはその……友人です!」と反論していた。インタビュアーはその光景を見て口ではそうですかと言いながらも目は温かい目をしていた。信じてないなこれは!

話題を変えるためインタビューを受けたが、まさかこのやり取りが既にカメラに撮られ放送されるとは露知らず。




一連の流れをテレビで見たこの世界の友達にものすっっっっごく楽しそうな顔で詰め寄られ恥ずかしい思いをするのはまた別の話。


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