02


「何、衣装だと?」
「そうなんだ。明日の昼頃までになんとかしないと……」
「……笑理は何になりきるつもりなんだ」
「えっとね、」
「ーー成程。レイナ、材料はあるか」
「笑理に事前になりきりたいのを聞いて買ってきてあるけど、どう?」
「…………これなら間に合うか」


裁縫が得意な幸矢が居てくれて本当に助かった。時間が惜しいみたいで幸矢は頭の中で簡単に完成図を想像し、手早く針を進めていく。なりきり大会が開催されるからかミシンもレンタルしてたので、借りてくると今度は慣れた手つきでミシンを使い始めた。す、凄い。
勇人が生地を眺めながら懐かしそうな顔を浮かべていた。


「その大会なら俺もじーさんばーさんと一緒にテレビで見た事があるぜ。毎年やってるみたいで中々面白かったな」
「て、テレビ!? テレビに出るの!?」
「コンテストに引き続きまたテレビに出ることになっちゃうね」
「やったじゃねぇかレイナ、有名人だぜ」
「良くないよ! 恥ずかしい……」
「アンタら、気が散るから向こうでやっててくれないか」


幸矢に注意を受けたところでナオトの部屋で食事を作っていた誠士が呼びに来る。今晩はナオト達一行と一緒だ。幸矢は衣装作りに専念したいみたいで、誠士に自分の分を取り分けてもらうよう頼んでいた。


「大変だな。私にできることがあればいつでも言ってくれ」
「悪いな。なら追加で飲み物も頼んでいいか」
「サイコソーダだな、分かった」
「後で手伝いに来るね」
「わ、私も手伝うよ」
「あたしも!」
「……俺が好きでやっているだけだ。気にせず早く行ったらどうだ」


……うん、あれは照れ隠しだな。小さく笑いながらナオト達の部屋へと向かう。ドアを開けると良い香りと共にいらっしゃいとナオトがお出迎えだ。ベッドでは澪君がスヤスヤと寝ていて、天馬君は焔と盛りつけを手伝っている。勇人は疾風君と気が合うみたいで一目散に駆けていった。お互いバトルジャンキーだもんね。


「揃ったな? 今日はたらふく食ってけよ」
「任せとけ!」
「待ってました! いただきまーす!」
「2人とも程々にね」
「わーってるって!」
「ホントかなぁ……」
「気にしないでくれよレイナ。誘ったのはこっちなんだから」


眉を下げ笑うナオトを見て、いたたまれない気持ちになる。確かに、せっかく厚意で誘ってくれたんだから楽しまないと逆に悪いよね。緋色君と誠士の2人の作った食事を堪能しながらナオトとの会話を楽しみ、仲間の和気あいあいとした光景を見守った。


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