02
ひょいっとユイが箸を伸ばして取ったと思った瞬間取られた蒼陽特製のおせちの具。
「あっ! 幸夜、それ私が狙ってたやつ!」
「もたもたしてるのが悪いんだろ、もう食べちゃったしな」
「幸夜のバカっ! 今すぐ出して! ほら!」
そう言いながら幸夜につっかかるユイと、そんなユイを軽くかわしながら黙々とおせちを食べていく幸夜。
「ちょっと、マスターは幸夜につっかかって行くのは止めなさい。みっともないですよ」
「だって蒼陽、私が狙ってたやつを幸夜が取っちゃったんだもんっ」
「だったら具に名前でも書いとけば良かっただろ?」
「何で!? まさかマジックで書いとけとか言うんじゃないでしょうね!?」
「あー、もう静かにしてください! あなたたちは静かに食事も出来ないんですか!」
軽くケンカする2人を宥めようとしたであろう蒼陽も結果的には混ざってなんか大事になってきた。
静かにしろという蒼陽の声が1番でかい気がするのだが、そんなことをこんな空気で言う勇気なんて竜牙にはない。
流石にこの場所にずっといるのはきついな……と思い始めてきた竜牙は、そろそろーっとその場から静かに退場するために音を立てずに立ち上がった。
「あのー、飲み物買ってきますね……((小声」
そしてその場を退場することが出来た竜牙は飲み物を買うために早歩きで自販機に向かった。
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