03


無事にアローラ地方に到着した私たち。今いるのはメレメレ島のハウオリシティ。
翡翠の予想通り、メレメレ島で過ごすことになりそうだ。
いやーそれにしても、


「青い空!」
「白い雲!」
「綺麗な海!」

「「「アローラ、サイコー!」」」


全員が全員初めて来た場所だからか、テンションが異様に高い。
ちなみにレイナ、フユカ、私の順番で叫びました。


「やけに元気だな、アイツら」
「はぁ、暑い……」
「無理はしないでくださいね、碧雅」
「ああ、姫があんなに楽しそうに……!」
「お、おおお……! おいおいおい見てみろよ焔、紅眞!」
「どうしたんだよ勇人?……うお、なんだこの黒いの?」
『ポケモンかなぁ? つついてみようよ』
「わぁーぷにぷにしてるね! って、なんか出た!?」
「來夢、あぶな……ー」
「笑理、何……きゃあ!」
「時すでに遅し、か……」
「あれは、ナマコブシですわね……」
「ううう、レイナ〜!」


私たちがアローラの景色を堪能していると、突然來夢ちゃんがレイナに抱き着いてきた。
その目には涙を浮かべていて……って何事!?


「何か、白い変な物が当たってっ……」
「“ナマコブシ なまこポケモン ビーチなど浅い海に棲む。身体から体内器官をだして餌を捕ったり敵と戦う。”……へぇ、こんなポケモンもいるんだ」
「感心してる場合じゃないからユイ。なるほどね、ナマコブシに驚いちゃったわけか」
『焔、勇人、紅眞、悠冬! 來夢に謝って!』
「わ、悪かったよ! だから原型で電気を出すなって!」
「おいお前ら、うるせぇぞ!」


痺れを切らしたらしい緑炎さんが怒鳴った。まさに鶴の一声。
騒いでいたみんなが静かになった。ため息を一つ吐いた緑炎さんが言葉を続ける。


「まずフユカ、レイナ、ユイ。初めての場所ではしゃぐ気持ちもわかるがお前らはトレーナーだ。
できる限りちゃんと仲間の動向を把握しておけ」

「次に焔、勇人、紅眞、悠冬。好奇心旺盛なのは良いが周りを巻き込むな。
もしかしたら來夢じゃなく、全く関係の無い奴まで巻き込んでたかもしれねぇぞ。
あと來夢にはちゃんと謝っておけ」

「最後に碧雅。空気を凍らせて自分の周りだけ涼しくするのは結構だが他人のフリをして俺たちから離れるな。
できれば俺だって離れたいが、誰がコイツらを止められるってんだ!」
「まあ頑張ってよオカン」
「誰がオカンだ!」


矢継ぎ早に一通りお説教を受けた私たち。紅眞たちは來夢ちゃんに謝って、私たちも深呼吸して一先ず落ち着いた。
これだけ騒いでいたのに、周りの人たちはあまり気にしていないようだったので幸いだった。
ここののどかだけど明るい雰囲気が、普段より私たちを元気にさせたのかな。


「あれ、蒼真は?」


ふと、フユカのその一言で蒼真君がいないことに気づいた。
周りを見渡すがそれらしき姿は見えない。まさか迷子!?


「! 姫、見つけました。あそこで広告を見ているようです」
「ナイス白刃! 蒼真ー!」
「……フユカ」


相変わらずのポーカーフェイス蒼真君。何があったか聞くフユカに対し見ていた広告を指さした。


「“アローラサマーフェスティバル”?」
「あ!」
「ユイ知ってるの?」
「知ってるも何も、アローラに行く前に軽く調べた時にこれがあるのを知って、それでみんなで行けたらなぁって……」


そう、アローラ地方についてパソコンで調べた時にあるHPでこれが開催されることを知ったのだ。
年に一度のお祭りで、アローラの夏の名物。夜には花火大会も行うらしい。
『ねぇねぇ! これ浴衣のレンタルもやってるみたいだよ!』と笑理ちゃんがレイナの肩に乗り、その箇所を指差す。
ほんとだ、ショッピングモールで浴衣もレンタルできちゃうんだ。


(みんなの浴衣姿……見てみたい、かも)


どうやら思ってたことは一緒みたいで、レイナ達と女の子ポケ組は満場一致の意見だった。
けど男性陣はあまり気乗りしないみたい。後で着たくなっても知らないもんねー!
祭りは明日の夜開催予定。なので今日はホテルでチェックインを済ませた後、アローラの綺麗なビーチでハワイ気分を堪能したのだった。


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