02


そして一週間ほど経った日、私はアローラ地方行きの飛行機に乗るため、一時的にカロス地方のミアレ空港にいた。
そこでフユカ達と待ち合わせ、みんなでアローラに向かう算段である。


「まさか交通費まで負担してくれるなんて思ってもみなかったなぁ、プラターヌ博士に感謝しなきゃ」
「研究者って儲かるんだねぇ……その分仕事が大変なんだろうけど」
「レイナ〜! ユイ〜! ミックスオレ買ってきたよ!」


フユカと共通の友達でもあるレイナとは同じシンオウを旅していることもあり、連絡を取りあって一緒にカロスまで来た。
気さくな性格のレイナは前に電話した時に呼び捨てで呼んで欲しいなと言われ、そこから呼び捨てで呼ぶようになった。

前にナオトと三人でカロスに来たことがつい昨日のよう。
元気にミックスオレを抱えて走ってくる女の子はパチリスの笑理ちゃん、その隣にはランクルスの來夢ちゃんがお姉さんのようにそばに居る。
あの二人は本当に仲がいいんだなあとほっこりする。
笑理ちゃんにありがとうと伝えたらあどけない笑顔でえへへと笑ってくれた。
私も可愛い女の子の仲間が欲しい!

みんな何だかんだ会うことが多いからか比較的打ち解けていて、紅眞は焔君と勇人君の大食いコンビと、緋翠と碧雅は誠士君とそれぞれの時間を過ごしている。
後者はともかく、前者はやんちゃっ子が多いから何かやらかさないか心配だよ、私は。
ミックスオレを飲みそんなことを思いながら待ち合わせまでの時間を潰していた。


「そろそろフユカ達がこっちに来る時間だから、ゲートに向かおうか」
「そうだね。みんなー、行くよー」
「僕はここにいる。荷物番もいるでしょ」
「ただ動きたくないだけな気もするけどな、碧雅」
「いや、碧雅の言う事にも一理ある。
ただでさえ人が多い中だ、全員で動くと逸れる可能性が高い。
私達はここで場所を取り待っているから、レイナ達が迎えに行き、再びここに戻ってくるのはどうだろうか」
「うーん、じゃあ誠士達にはここで待ってもらって、私とユイで向かおうか」


そして空港のゲートの前まで来ると、たくさんの人混みに紛れ、見慣れた黒髪が見えた。


「あ、レイナ! ユイー!」
「フユカ!」
「元気そうだね! プラターヌ博士とアレックスさんも、こんにちは!」
「やあ、2人とも! 今回はわざわざすまなかったね」


おそらく見送りに来てくれたであろうプラターヌ博士とアレックスさん。
ちなみに水恋さんも一緒に来ている。けれど水恋さんだけは博士達とは違い、私たち(というかフユカ)を見て心配そうな顔をしていた。


「……やっっっぱり女の子だけで行くなんて心配だわ……!
ねえフユカ、まだ手持ちの枠は空いてたわよね? 私がそこに入って一緒について行ってもいいかしら!?」
「水恋、それはダメだと何度も言っただろう」
「大丈夫だよ水姉さん。今回は緑炎達だけじゃなくて、友達も一緒なんだから」


お土産いっぱい買ってくるからさ、ね?

眉を下げ宥めるようにフユカが伝えると、水恋さんは物凄く悩んでいたけれど、「……分かったわ。でも、本当に気をつけるのよ?」と一応許してくれたようだ。


「水恋じゃないけれど、道中は気をつけて。いい思い出になるといいね」
「アレックスさんもありがとう!」
「それじゃあーー」


いってきまーす!!


三人で手を振り、荷物番をしていた碧雅たちと合流しアローラ行きの飛行機に乗り込んだ。
さぁ、本番はここからだ!


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