02
そして3日経ち、太陽が完全に顔を出した頃。
空港でプラターヌ博士やアレックス達に見送られ、俺達はシンオウ地方へ飛び立った。
土産は何が良いだろうか。
「シンオウは何回か行ったことあるけど、やっぱり普段カロスにいる分楽しみだね」
「ええ、そうですわね。今回はどこへ行きましょうか」
「恐れながら姫。お聞きしたいのですが、レイナ達には連絡をしないのですか?」
「うん。レイナ達の旅の邪魔をしちゃ悪いし、それにもし出会えたらそれはそれで運命って感じがして良いじゃない?」
「なんというお心遣い……! 素晴らしいです、姫」
白刃のフユカ至上主義は今日も止まることを知らないな。
そんな俺はというと、仲間の会話をBGMにコーヒーを飲み、新聞を読んでいる。
蒼真と悠冬は飛行機から見る外の景色を楽しんでいるようだ。
『すごい! 雲がこんな近くにあるよ!』
『お日様も……近い……』
「悠冬、飛行機の中では静かにしててね」
『うん! でも、僕変なんだ』
「どうかされまして?」
『耳がね、水が入ったみたいに詰まった感じがするんだ』
ああ、それは飛行機に乗ると起こる特有の物だな。
「それなら唾を飲み込んでみろ、しばらく解消されるはずだ」
『ほんと!? …………わぁ、ほんとだ! スッキリした!』
この現象が面白かったのか、『また来ないかなー』と何度も唾を飲み込んでる。程々にしておけよ。
「緑炎は行きたい所ある?」
「どこでも構わねぇ。お前達に任せる」
「んーそっか。どうしようかな」
「フユカ、もし良ければソノオタウンに向かってもよろしくて?」
ソノオタウンといえば花の街として有名だ。
パンフレットにもおすすめスポットとして紹介されている。
雅はむしタイプのビビヨン、花に惹かれるものがあるのだろう。
「勿論! みんなも良いよね?」
「私は姫の仰せに従います」
『花、見たい……』
『僕も!』
「決まりだな」
こうして行き先を決めた後、仮眠を取るなり景色を堪能するなり、各々好きな時間を過ごしている間に到着した。
チケットに同封されているコトブキシティのホテルの宿泊券でチェックインをする。
「もう夕方になっちゃったし、今日はこのまま休んで明日観光しようか」
フユカの言葉に全員賛同し、今晩はホテルのビュッフェと温泉を堪能した。
コトブキシティもミアレシティ程ではないが発展が進んでおり、部屋から見る夜景はとても綺麗だ。
「いやー今回はラッキーだったね! 蒼真に感謝しなくちゃ」
「案外運が良いのかもしれないな、蒼真は」
そんな蒼真はテレビを夢中で見ている。
カロスとはまた違った番組のラインナップに興味を抱いたらしい。
「蒼真、テレビに近づきすぎると目を悪くするぞ」
「白刃、これ見て……」
「どうした? ……姫、雅。ちょうどテレビでソノオタウンが映っておりますよ」
そこには花畑が一面に広がるソノオタウンが特集されていた。
悠冬と夜景を堪能していた雅がテレビを見て、感嘆の息を零す。
「まあ! やはり素敵な町ですわね」
「うん、女の子ならみんなウットリしちゃうね」
あ、美味しそうとベッドで横になりながらテレビを見て呟くフユカの言葉に反応し画面を見ると、そこにはオシャレなデコレーションをしたパンケーキが映っていた。
「名物の“あまいミツ”をふんだんに使ったパンケーキ……」
「きっととても美味しいでしょうね」
「うん! 明日食べに行ってみようか!」
(あまいミツ、か……)
そしてその日の晩は慣れない飛行機に乗って疲れたか、全員ぐっすりと良く眠っていた。
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