01
本日の予定も終了したので、夕飯の買い出しに出た俺と、手伝いに来てくれた蒼真の2人でスーパーに買い出しに出た。
旅をしていることもあるが、如何せん仲間の人数が多いため食糧の確保は多くなる。
どうやら今滞在している街で街興しキャンペーンをやっているらしく、会計の時に福引券を1枚貰った。
買った食材を袋に入れて運び、もう片方の手で券を眺めながら歩いているとタイミング良く福引の会場らしき場所を見つけた。
(タダより高いものはない、とはよく言うがな)
「緑炎、どうする……?」
「せっかく貰ったしな、回していくか」
「……僕、回しても良い……?」
控えめに尋ねてくる蒼真に同意を送り、会場へ向かう。
受付の女性に福引券を渡し、蒼真が抽選器の前に立つ。
がらがらがら
ころん
(これは)
転がって出たのは、金色の玉。
すると乾いた高い音が鳴り響いたかと思うと、クラッカーの紙のテープが色とりどりに俺たちの頭上を埋めていた。
カランカランと景気の良い鈴の音が鳴る。
「おめでとうございますお客様! 特賞のシンオウ地方2泊3日の旅チケットが当たりました〜!!」
「…………当たった」
表情は無いが俺の方を向いて親指をグッと立てる蒼真。
その目はどこか輝いているように見える。
まさか特賞が当たるとは。
俺は当たるのは参加賞のキズぐすりか、良くて狙っていた5等のきのみ詰め合わせセットだとばかり思っていたので、マメパトが豆鉄砲を食らった気分だ。
(シンオウ地方か)
フユカの喜ぶ顔が目に浮かぶな。
大事に特賞のチケットを抱える蒼真に今晩のリクエストを聞きながら、俺達は帰路を歩いた。
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