08
「ユイ、碧雅君! 優勝おめでとう!」
「負けちゃったのは残念だけど、とっても楽しかったよ! 本当におめでとう!」
「ありがとう! まさか私が優勝するなんて思ってもみなかった!」
みんなから"おめでとう"と言われ、少し照れくさくなる。
最後の問題には苦戦させられたけど、みんなと一緒に勉強してて本当に良かったよ。
これからの自身にも繋がった気がする!
「みな様、お疲れ様でした。とても良い勝負でしたよ」
「えぇ、大健闘でしたわね」
「必死に答えを考えてる君たちの顔もかわ゛っ!?」
「貴様は黙っていろ。
あぁ、実に素晴らしき戦い……流石は我が敬愛する姫です。レイナたちもユイたちも、その健闘を讃えよう」
「……どうも」
「サイコソーダは残念だったが、良い経験になった。礼を言う。
レイナ、シンオウに戻ったら買い出しに行くぞ」
「良いけど、飲み過ぎないようにね」
景品として貰ったサイコソーダをチラリと見やり、私は良いことを思いついた。
「ねぇ。このサイコソーダなんだけど、流石に3ダースは多いから分けっこしない?」
「しかし、それはユイと碧雅が勝ち取ったものでは……」
「僕は別に良いよ。こんなに貰っても荷物になるだけだしね」
「私としても貰ってくれた方が助かるなぁ。どうかなフユカ、レイナ?」
「そこまで言われちゃったら断れないね。ありがとう、ユイ」
「フフッ、どういたしまして。ほら幸矢君も!」
「あ、あぁ……。アンタがそれで良いなら」
お礼の言葉を言う幸矢君の手に1ダース持たせる。
耳がほんのり赤くなってるから、照れてるんだな。あぁいうとこ、ちょっと可愛いよね。
「そういえば、2人はこれからどうするの? 今日はここで解散してシンオウに戻る感じ?」
「うぅん、今日はミアレシティで1泊して明日帰るよ」
「せっかくだからミアレシティを観光したいな。碧雅に有名店のアイス買う約束取り付けられてるし」
「有名店?
あぁ、あのお店のアイスだね。良かったら案内するよ!」
「僕もアイス食べたーい!」
「あたしもー!」
「んじゃ、今から食いに行くか!」
「賛成―!」
ミアレシティにあるという有名アイス店に向かって、連れ立って大通りを歩く。
みんなの顔も晴れやかで、楽しい思い出と幸せを共有した1日になった。
「そういえば、レイナはアイスとか作れないの?」
「アイスはまだ作ったことないなぁ。もしアイスを作ることがあったら、碧雅君に味見してもらおうかな」
「……分かってるじゃん」
「こら碧雅、ちゃっかりお相伴に与ろうとしないの」
「お前にも作ったことのない菓子があるんだな、甘味女」
「晶君、"甘味女"ってもしかしてレイナのこと?」
[*prev] [next#]
TOP