06

景品のサイコソーダを賭けて参加したクイズ大会が始まった。

ルールはとってもシンプル。出題された問題に早押しで答え、パートナーポケモンがその選択肢のバルーンを割るというものだ。

問題は全部で15問。最初に5問正解した人が景品を貰うことができる。

バルーンはかなり高い位置にあるので、遠距離攻撃のできるポケモンか空を飛べるポケモンをパートナーにする必要がある。

レイナは幸矢君と、フユカは緑炎さんと出るみたい。私はどうしようかな……。

「……何だ、その目は。ポケモンバトルでないなら僕は出ないからな」

「ちょ、まだ何も言ってないじゃん」

「ご主人には悪いけど、俺も遠慮したいな。あまり目立ちたくはないからね」

「ぼくは、ユイちゃんがかてるようにおいのりしてるー」

三者三様な理由で参加を辞退する3人。残るは碧雅、紅眞、緋翠の3人だ。

「紅眞と緋翠はどう?」

「申し訳ありません、マスター。バルーンがあの高さでは、私のサイコキネシスも届かないかと……」

「俺も出たいけど、人がたくさんいるとこで炎技使うのはなー……。
燃え移っちゃったりしたら大変そうだしさ」

「い、一理ある……」

となると、残された可能性は碧雅1人。

彼も"出ない"って言ったら、残念だけど諦めるしか無いかなぁ。

「……ハァ、今回だけだからね」

「やっぱそうなるよね……。えっ、良いの!?」

「その代わり、ミアレシティの有名店のアイス買ってくれるならね」

何かやけに真剣な顔で旅行雑誌見てると思ってたけど、やっぱりアイスか……。

でも有名店ってことは美味しいんだろうし、それはそれで私も食べてみたい。

「分かった、じゃあみんなで食べに行こうね」

アイスを食べに行く約束をしたところで、レイナとフユカがこっちに歩いてくる。

「ユイ、誰と参加するか決まった?」

「うん、碧雅と出ることにするよ」

「アンタが出るんだな。前のバトルは負けたが今回は負けるつもりはない」

「おっと幸矢君、今回は私がいることも忘れないでね!」

「実際に知識を競うのはユイたちでしょ。というか君らのサイコソーダにかける熱意は何なの……」

「おいフユカ。張り切るのは良いが、仮に景品もらっても飲むのは1日1本までだからな」

「はーい、分かってまーす」

碧雅のアイスに対する熱意も相当だと思うけどな、私は。

"参加者の方はステージに登壇お願いしまーす!"というスタッフさんの声に、私たちは解答席へと向かった。

わぁ、お客さんがたくさん見てるから緊張するなぁ……。

「それでは第1問!
シンオウ地方で新人トレーナーに渡されるポケモンはナエトル・ヒコザル・ポッチャマの3匹ですが、この中で草タイプなのはどのポケモンでしょう?
赤、ヒコザル。青、ポッチャマ。緑、ナエトル。それでは解答スタート!」

問題が読み上げられると同時に、早押しボタンを連打する音が聞こえてくる。

最初の問題で回答権を得たのはレイナだった。

「幸矢、緑のバルーンに冷凍ビーム!」

『あぁ……!』

幸矢君が放った冷凍ビームが緑のバルーンを貫く。それと同時に司会者の"正解です!"という声が響いた。

「正解は緑のナエトルでした! それでは次の問題へ参りましょう!
第2問! シンオウ地方では独自の進化を獲得したポケモンも確認されていますが、イーブイもその1匹です。
シンオウで発見されたイーブイの進化系はリーフィアと何でしょうか?
赤、ブースター。青、グレイシア。緑、ブラッキー。解答スタート!」

問題文を聞いた瞬間、これは落とせないと直感する。

他の参加者に負けないようにボタンを連打し、ライトが付くと同時に答えた。

「碧雅、青のバルーンに水の波動!」

『まぁ分かって当然だよね。そうじゃなかったら冷凍ビーム浴びせてるところだよ』

そう言いながら放たれた水の波動が真っ直ぐ飛んでいき、青のバルーンを打ち抜いた。

ていうか人間相手に冷凍ビームなんてしないで欲しいな!?

「正解です! 答えは青のグレイシアでした!
特定の場所で進化するポケモンが確認されたのは、シンオウ地方が最初だと言われています。
それでは第3問! キルリアは今までサーナイトにしか進化しないと言われていましたが、シンオウ地方で新しい進化系が確認されました。
キルリアをエルレイドに進化させるための方法は、次のうちどれでしょう?
赤、オスのキルリアに目覚め石を使う。青、オスのキルリアに特定の技を覚えさせてレベルアップする。緑、オスのキルリアが十分に懐いた状態でレベルアップする。
それでは早押しスタート!」

うっ、どれも十分にありえそうで迷う……。

緋翠の進化に関係する問題だし、どうにか正解したいけど……と考えているうちに、フユカが解答権を得てしまった。

「緑炎、赤のバルーンにエナジーボール!」

『了解』

緑炎君の放ったエナジーボールが直撃し、赤のバルーンが大きな音を立てて割れる。

目覚め石……そんな道具があるんだ。まだまだ知らないことが多いけど、勉強にもなって楽しいなぁ。

「幸先の良いスタートを切りました! どんどん参りましょう!」

司会者の声に、会場全体に歓声が響き渡った。



[*prev] [next#]






TOP
×
「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -