05
一通りフェスタの会場を見て回り、私たちは今回のメインイベントがあるエリアにやってきた。
ここではシンオウ地方に関係するクイズ大会が開かれ、優勝者には景品もあるらしい。
「クイズ大会……。バトルの腕前ではなく、知識を競うのか」
「景品って何だろうねー?」
「俺は何かしら食いもんが良いな。誠士にゃいつも食費をやりくりしてもらってるしよ」
「本当に食材なら助かるが、食費が浮いて助かるのは緑炎や紅眞も同じだろう」
「コストを極力抑えられりゃ、それが1番理想だが……。まぁ俺らんとこは大食漢がいねぇからな」
「だなー」
みんなが思い思いにどんな景品があったら嬉しいかを話していると、クイズ大会の参加者を募っている運営スタッフさんの声が聞こえてきた。
「クイズ大会に出場していただける方を募集中です! 優勝者にはサイコソーダ3ダースが贈呈されます!
皆さま、どうぞ奮ってご参加ください!」
(サイコソーダかぁ。冷蔵庫で冷やしたやつをお風呂上がりに飲んだら美味しいよねー)
そんなことを考えている私の横で、フユカが"サイコソーダ……!"と呟く。
その目にはものすごい気合のこもった色が光っていた。
「景品がサイコソーダなら参加しない訳にはいかないね! よーしみんな、目指すは優勝だよ!」
「いや、サイコソーダは俺がもらう」
フユカの前にズイっと躍り出たのは、何と幸矢君だった。
いつものクールな表情は何処へやら、微かに口角を上げてフユカに挑戦的な笑顔を向けている。
「やる気満々だね、幸矢君。でも私だって負けるつもりはないよ?」
お、おぉ……。フユカと幸矢君の間に火花が散ってるのが見えるよ。
この2人がサイコソーダが大好物なのは知ってたけど、ここまで並々ならぬ意欲を発揮してるところは初めて見たな……。
「ユイは参加しないの?」
「私は……」
正直、参加しようかどうかとても悩んでいる。
碧雅たちと一緒に勉強しているとはいえ、知らないことは多い。
あと単純に、ポケモンに関する知識量はレイナとフユカの方が豊富なはずだ。
「ユイ、こういうのは楽しんだもん勝ちだよ」
「せっかくだし参加してみたらどうかな?
今まで勉強してきたことを試す良い機会だと思うよ」
「ちんちくりんの頭でどこまでできるのか見ものだな」
「子どもも参加するイベントだし、そんなに難しい問題は出ないと思うよ」
みんなに背中を押されて、ちょっとやってみようかなって気持ちが湧いてくる。
せっかく来たんだし、思い出に残すなら楽しまなきゃ損だよね!
(緋翠が据わった目で"晶は後ほどお説教ですね……"って笑ってたのは見なかったことにした)
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