03
「ねぇユイ、あの後ろ姿ってもしかして……」
「あっ、フユカだ! おーい、フユカ―!」
私に名前を呼ばれた黒髪ポニテの女の子、フユカがこっちを振り返る。
グレーの瞳が私たちを見つけると、パアッと笑顔になって駆け寄ってきた。
「レイナ、ユイ、久しぶり!」
「フユカも久しぶり!」
「元気にしてた?」
「もちろん! 緑炎たちもみんな元気だよ!」
「わーい! レイナとユイも一緒だー!」
キャッキャウフフと笑いながらみんなで再会を喜び合う。
……ところで今日のフユカ、いつもと服装が違うような?
「わぁ! フユカの今日の服、とっても素敵!」
「うん、すっごくキレイ! 良いなあ、あたしもそういう服着てみたーい」
「馬子にも衣装だな、平民女」
「こら晶、そういうこと言わない!」
「ありがとう來夢ちゃん、笑理ちゃん。晶君も、褒め言葉として受け取るよ。
‥…本当は私服で来ようと思ってたんだけどね」
そう言って照れくさそうに頬を書くフユカ。
なんでもプラターヌ博士に"せっかくだからオシャレして行ったらどうか"って言われたんだって。
それに加えて悠冬君がフユカの振袖姿を見たいってせがんで、"ダメ?"と上目遣いで見上げられてノックアウトしたらしい。
オシャレが大好きな笑理ちゃんが目をキラキラさせている隣で、何故か幸矢君も興味深そうに振袖を見ている。
……幸矢君くらいの手芸の腕前だと服の1着や2着、本当に作っちゃいそうだな。
「……なぁ。その着物の色合い、何かに似てねぇか?」
「確かに、どっかで見たことあるなー」
勇人君と紅眞が一緒になって首を捻る。
そんな2人の反応を見た緑炎さんが突然恥ずかしそうにそっぽを向いた。
「なんだろー?」
「……あぁ、なるほどね」
ふわっとした口調でコテンと首を傾げる白恵。すると碧雅が何かに気付いたように頷いた。
「フユカ、その着物のモチーフ……もしかしなくてもジュプトルでしょ?」
「おぉ、碧雅君当たり!」
ジュプトルがモチーフだって聞いて、さっきの緑炎さんの表情にも納得がいった。
「言われてみれば確かに」
「ポケモンをモチーフにした振袖か……。ご主人には是非ともミロカロスの柄を着てみて欲しいな」
「キルリア……いいえ、サーナイトもきっとお似合いかと!」
「着る機会があればね」
レイナが"そろそろ始まるんじゃない?"と言うのと同時に、賑やかな音楽が流れ始める。
フェスタ開始の合図であるそれを聞いて、私たちも中央広場へと向かった。
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