07
私たちの後ろから現れたのは、1人の女の子だった。
真っ白な髪にスカイブルーの瞳を持ったその子は、感情の読めない表情で私たちを見据える。
「チッ、邪魔なヤツが増えた」
女の子の目が傷だらけのポケモンを写す。次の瞬間、目付きが変わった。
2人組を黙って睨み付ける瞳は鋭利な刃物のようで、思わず生唾を飲んでしまう。
有無を言わせないその表情に、私たちは声すら出せずにいた。
「アンタたちはポケモンを何だと思ってるの?
ポケモンを解放するとか言う割に、自分たちは道具としか見てないわけ」
「だ、黙れ! まずはお前から倒してやる!
行け、レパルダス!」
「やれ、ミルホッグ!」
2人組は猫のようなポケモンと、ミーアキャットのようなを繰り出した。
「ポケモンを平気で傷付けるような人になんて負けない。
2人とも、お願いね」
『あぁ』
『うむ、任せるが良い』
女の子もまた、シンオウでは見たことの無いポケモンを繰り出す。
片や緑色の体に大きな茶色の目がチャーミングな、草タイプであろうポケモン。
片や紫色のたてがみが特徴的な黒いポケモンだった。
「へぇ……随分と珍しいポケモンを連れているね、彼女は」
「璃珀、知ってるの?」
「本で読んだ程度ならね」
「ねぇ、アンタ」
「ひゃい!?」
女の子が私を見ている。もしかしなくても、私を呼んだんだよね、今?
「アンタ、あのヨーテリーのトレーナー?」
「う、ううん……。
違うけど、蹴られてるのが見えたから放っておけなくて……」
「そう。じゃあ、あの子をポケモンセンターに連れて行って」
「だけど……」
「巻き込まれて大怪我したいの?」
「今すぐ連れて行きます!」
女の子にすっかり気圧された私は、ヨーテリーというらしいそのポケモンを抱えてポケモンセンターへと走ったのだった。
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