06
溶け始めたヒウンアイスを急いで食べ、ロイヤルイッシュ号でのクルージングを楽しんで。
港に戻って少し歩いたところで怪しい2人組がいるのを見つけた。
様子を見てみると、その2人組は鬱憤を晴らすように暴言を吐いている。
あろうことか、1匹の小さなポケモンに暴力を奮っていた。
あんなの黙って見てられない!
「ちょっと、小さいポケモンに何てことしてるの!」
私の剣幕に一瞬だけ驚いた2人組だったけど、次の瞬間には開き直る。
「コイツが俺の指示通りに戦わないのが悪いんだよ!」
「その通り、これは躾なんだ。お前には関係ないだろ!」
「そんなの躾じゃなくてただの暴力だよ! どうしてポケモンをそんなぞんざいに扱えるの!?」
「うるせぇ! 口出しするならバトルで黙らせてやる!」
「良いよ……やってやろうじゃない!」
すると璃珀が慌てたように私の肩を引っ張った。
「ご主人、バトルは止めた方が良い。
俺たちはみんな、イッシュ地方に生息例が無いポケモンだ。
仮に勝ったとしても、ほぼ高確率で目を付けられるよ」
でも今ここであの子を見捨てたら、私はきっと後悔する。
ポケモンに平気で暴力を振るうような人を、許すわけにはいかない。
「僕がやる。"指示通りに戦わないのが悪い?"
自惚れるのも大概にしろ、人間風情が」
晶が2人組を睨み付けながら擬人化を解こうとした時──
「何してるの」
静かで凛とした声が聞こえた。
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