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ハンデとして先攻を譲ってもらった私は、紅眞の特性を活かしてスピード勝負に持ち込むことにした。

「まずは、炎の渦!」

『よっしゃ!』

「それならこっちは火炎放射だ!」

『おぅ!』

炎と炎が激しくぶつかる。

でも烈さんの放つ火炎放射の威力は凄まじくて、押し負けた紅眞に直撃した。

「大丈夫、紅眞!?」

『俺だって炎タイプだ、まだまだ行けるぜ!』

『へぇ? 俺の炎を喰らってピンピンしてるなんてな』

「やる気十分というわけだね。それなら次は、ドラゴンクロー!」

「二度蹴り!」

紅眞の二度蹴りが決まり、ドラゴンクローの軌道を逸らす。

一かバチかの作戦だったけど、上手くいった!

『よしっ、体も軽くなってきたぜ!』

『確か隠れ特性だったな、アイツ。次はどうすんだ、アレックス?』

「こっちから接近するのは危険だな。気合玉だ!」

アレックスさんは原型ポケモンの言葉は分からないって聞いてるけど、意思疎通はしっかりできてるみたいだった。

それだけアレックスさんは烈さんを、烈さんはアレックスさんを信頼しているんだろう。

私もあれくらい、碧雅たちと絆を育んでいけたら良いなぁ。

「もう1度二度蹴り!」

二度蹴りで弾き返された気合玉が烈さんにぶつかる。

でも飛行タイプを併せ持つ彼は、そのダメージをものともしていなかった。

そろそろスピード戦に持ち込ませてもらおうかな。

「紅眞、走って撹乱して!」

『おぅ!』

"加速"で素早さの上がった紅眞がフィールドを縦横無尽に駆け出す。

あまりの速さに、烈さんは目が追いつかないみたいだった。

彼の動きが止まってる今がチャンス!

「ブレイズキック!」

『喰らえっ!』

「受け止めろ!」

ブレイズキックを真正面から受け止めた烈さんが、紅眞の脚を掴む。

マズイ展開じゃない、アレ!?

アレックスさんの指示で上に投げ飛ばされてしまった紅眞。

空中では思うように動けない。そこを突かれたんだ!



「フレアドライブ!」



烈さんが灼熱の炎を纏って紅眞に激突する。

それは正しく、"爆炎"や"豪火"と形容するに相応しい激しさだった。

フィールドに叩き付けられた紅眞は、目を回して戦闘不能になった。


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