04
とはいったものの――。
(ちゃんと出来る気がしないいぃ……!)
とうとう迎えた学会当日。私は会場エントランスホールのソファーに座っていた。
隣にはプラターヌ博士が座っていて、台本資料のチェックをしている。
だって学会ってあれでしょ?
各分野の研究のお偉いさんが大勢来るんでしょ? 不安しかないよ……!
博士に手渡された白衣を羽織る私は、見た目こそ助手らしいものの実際はただのポケモントレーナーでしかない。
あ、緊張して頭痛くなってきた……。
「だ、大丈夫かい? 顔が真っ青だよ」
「大丈夫デス、任セテクダサイ……」
「……大丈夫じゃなさそうだね。フユカさん、ゆっくり深呼吸して。
僕の目を見てごらん」
大きく1度深呼吸して、言われた通りに博士の方を見る。目の前には彼の、私と同じ濃いグレーの瞳があった。
「大丈夫、君なら出来るよ。僕を信じて」
左手から伝わってくる、博士の体温。
その暖かさのおかげで、緊張がスーッと解けていくのを感じた。
いや緊張してるのは一緒だけど!
それでも、最初の頃よりは体の強ばりもなくなった。
『今の良いな。俺も今度やってみようか』
『お前は黙ってろ』
『フユカ、頑張って!』
「うん、頑張る……!」
ここまで来てしまった以上、やらなきゃいけないんだから。
その時──
[*prev] [next#]
TOP