01
年末某日――。
私はプラターヌ博士と一緒にシンオウ行きの飛行機を予約していた。
何故カロスを旅する私がシンオウへの飛行機を手配しているのか。
それは3日ほど前の夕方まで遡る。
その日、用事があってプラターヌ研究所を訪れていた私は研究所に届いた電話を取った。
博士は席を外していて、アレックスさんはフィールドワークのためにヒャッコクシティにいるからだ。
「はい、プラターヌ研究所です」
「む? おお、君だったのかフユカ君」
「ナナカマド博士!?」
電話の主はシンオウのナナカマド博士。
まだ1度しか会ったことのない私を覚えてくれていたみたいで、"元気そうで何よりだ"と言ってくれた。
"ところで、プラターヌ君はいるかね? 今度の学会の打ち合わせをしようと思ったのだが"
「プラターヌ博士は、席を外してます。10分ほどで戻ってくるって言ってましたけど」
"ふむ……タイミングが悪かったようだな。また後ほど電話すると伝えてくれると助かる"
「分かりました、確かに伝えます。……あれ?」
ナナカマド博士の背後に見覚えのある顔を見つけた。あの赤い髪は――
「紅眞君!」
"ん? おっフユカじゃん、久しぶりだなー!"
振り返ったその顔は、間違いなく紅眞君だった。
屈託のない笑顔でこっちに向かって手を振る愛嬌も相変わらずだ。
ナナカマド博士に"知り合いなのかね?"と聞かれたので、ユイとは友達だと説明した。
紅眞君がいるってことは、ユイたちもいるんだよね。久しぶりに会いたいなぁ。
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