02


今日は元旦。

1年の1番初めの日。

正月といえばお年玉! でもまぁ、今のわたしにお年玉をくれるような人はいない。

なんて思ってたら、ナナカマド博士が"旅費の足しにしなさい"ってお年玉をくれた。

こっちの世界にトリップしてからお年玉をもらうことはないと思っていただけに、部屋に届けられた封筒の中を見たときは驚いた。

博士……孫でもないわたしにお年玉くれるなんて……。



どんだけ太っ腹なんですか! 嬉しいんで泣いて良いですか!?



もちろん、ちゃんとお礼の電話はしたよ。

あの時は博士と研究員の皆様が菩薩に見えた。

そして今は、誠士の作ったお雑煮で食事中。

白味噌ベースのお雑煮で、わたしの1番好きなやつだ。

うん、美味い。

「そういえば僕、昨日夢を見たよ」

「どんな夢?」

「えっとね、僕が外でナスを焼いてたんだけど、ふと空を見たらムクホークが飛んでたよ」

「へー! 縁起の良いもの見たね!」

「どうして?」

「"1テンガン山2ムクホーク3なすび"という言葉がある。
初夢で見ると、良い年になると言われているものだ」

そんな言葉あるんだ……。あっちの世界で言うところの"一富士二鷹三なすび"みたいなもんか。

「てことは、ナスを焼いてた焔がムクホークを見たっていう夢は……」

「ああ。"2ムクホーク3なすび"を見たから、今年は良い年になるだろう」

初夢かぁ。私は今年は見なかったな。

まぁ、普段から夢を見る方じゃないんだけどね。

「ねぇ焔、その夢はその後どうなったの?」

「あ、それ私も気になる」

「あ、それね……ムクホークが焼いてたナスを持ってっちゃった」

ムクホーク何やってんの!? てか熱くなかったの、焼きナス!?

「縁起がいいのか悪いのか分からないな……」

「そうだね」

「焔にとって悪い年にならないように祈るよ。
さて、お雑煮も食べ終わったし、ちゃちゃっと片付けて初詣に行こう」


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