05

2回戦目を戦った4人を医療スタッフさんに預け、続く3回戦。

緋色・澪VS碧雅君・紅眞君のバトルが始まろうとしている。

他のメンバーが全員回復に言ってるから、今回バトンタッチ戦法は封印かな?

『よっしゃ! 緋色は俺に任せとけ!』

『だからって僕が澪に有利って訳じゃないんだけど……まぁ、良いや』

『相手は碧雅と紅眞か……。アドバンテージはお互い様だが、そう簡単に負けてはやれねぇやな』

『ふあ……ぁふ……。紅眞はこっちで何とかする……。
代わりに、碧雅は任せるよ』

常日頃眠そうにしている澪の黒い瞳に、強い光が宿る。

口調もフワッとしたものではなく、凛々しい響きを伴うものに変わっていった。

「では3回戦、バトル開始!」

「澪、アクアリング!」

『了解』

水でできた輪が澪の体を覆い、一定のタイミングで体力を回復するよう布石を打つ。

シャワーズはブイズたちの中でもタフさがダントツらしいから、澪も意外と耐久型なんだよね。

「紅眞、緋色君にブレイズキック!」

『おりゃーっ!』

「接近を許すな! 水の波動!」

『分かってる……!』

澪の放った水の波動が紅眞君の脚の炎を消して無効化する。

普通のキックになったそれを流れるように交わし、標的を失った紅眞君の脚がバトルフィールドに突き刺さった。

『ギャーッ! 刺さっちまった!』

『何してんのさ』

「紅眞、まずは地面から脚を引き抜いて! 碧雅は澪君にシャドーボール!」

「澪、こっちもシャドーボールだ! 緋色は剣の舞!」

『分かった』

『おぅ!』

2つのシャドーボールがぶつかって相殺される中、緋色が剣の舞で攻撃力を底上げする。

紅眞君も四苦八苦したものの、何とか脚を引き抜くことに成功したみたいだ。

「よし、舞台を整えるぞ。緋色、雨乞い!」

『雨乞い!?』

緋色が空に向かって何かを唱え、上空に雨雲が発生する。

シトシトと降り始めた雨がフィールドを濡らした。

「って、ちょっと待って! 勇人、誠士、カメラは大丈夫!?」

「大丈夫だ。問題なく撮影できている」

「博士の話じゃ、水中でも使えるやつだってよ。さすが研究所なだけあって機材も最新式なんだな」

「レイナ、傘差してあげるからもうちょっとこっち寄って。濡れちゃうよ」

あっけらかんとそう返してくる2人に苦笑いしながら、焔にお礼を言って傘に入れてもらう。

でもいつの間に用意してたんだろう?

『雨乞いって……マジかぁ……』

『向こうにとって最適で、紅眞にとって最悪な展開だね。
無闇に炎技使うのは愚策だよ』

「そうだね。それなら碧雅、澪君にフリーズドライ!」

『クッ……!』

「澪!」

フリーズドライは氷タイプの技の中で、唯一水タイプに抜群が取れる特殊な技。

前にフユカからそう聞いたことがあるけど、碧雅君も覚えてたんだね。

さすがユイの相棒ポケモン……一筋縄では行かないかも。

それにアクアリングの回復力だけではカバーしきれないはずだ。

「紅眞! 澪君に切り裂く!」

『よっしゃ!』

特性である"加速"によるスピードを味方につけた紅眞君が、素早い動きで澪に肉薄する。

それに対してナオトは澪に水の波動を指示。至近距離から発射された水が紅眞君に直撃した。

『冷てーっ!?』

「緋色、碧雅にアイアンヘッド!」

『任せな!』

「ヤバッ!? 碧雅、緋色君に水の波動!」

緋色が碧雅君に向けて走り出すと同時に、碧雅君は水の波動を撃つ体勢に入る。

するとナオトは澪を呼んだ。まさか……。

「その水の波動、もらうよ! 澪、横から突っ込め!」

『ナオトってたまに無茶言ってくれるよね……!』

そう零しつつ、澪が緋色のいる方に全力で走る。

そして思い切り水の波動に突っ込んでいき、水を全て攫って行った。

『なっ……! グッ、……あ……!』

「碧雅!?」

『水の波動喰らったのに、澪のやつピンピンしてるぞ!?』

『ケホッ……! アイツの特性知らないの?
シャワーズの特性は"貯水"。水タイプの技を無効化する上に、体力を回復するんだ』

『正解ー』

緋色のアイアンヘッドが直撃したことで、碧雅はかなりのダメージを追ったはずだ。

対してナオトの方は澪を水の波動とぶつからせることで特性の"貯水"を発動させ、自分の体力を回復させながら相手の攻撃を阻止した。

緋色の弱点を雨乞いでカバーしつつ、雨で威力の上がった碧雅君の水の波動を利用して体力を大幅にリカバリーする。

うーん……やっぱり他の人のバトルを見てると、色々勉強になるなぁ。

とはいえ、この雨も長くは続かない。空を覆っていた雨雲が消えてしまい、陽射しが顔を覗かせた。

「……それなら紅眞、ナオトの戦法をそっくり返しちゃおっか! 日本晴れ!」

『お……おぅ!』

『暑いの嫌なんだけど』

「バトルの間だけだから文句言わない!」

「日本晴れか……これはしてやられたな」

『どうする、ナオト? 雨乞いしても良いが、それだと試合が平行線になると思うぜ』

「そうだな……。よし、短期戦に持ち込むぞ。
緋色、剣の舞!」

『おぅ!』

「させない! 紅眞、最高のスピードでブレイズキック!」

『喰らえーっ!』

今紅眞君を近付けさせるのはマズイ。そう考えたナオトが澪にシャドーボールを指示したけど、紅眞君のスピードには追い付けず直撃を許してしまった。

そしてシャドーボールが外れたタイミングを見計らって、碧雅君のフリーズドライが澪を攻撃。

2人とも抜群技を喰らったにも関わらず、目に宿った闘志は尽きていなかった。

とはいえお互いに体力は底をつきかけている。おそらく……次の一撃で全てが決まる!

「これでフィニッシュだ。
緋色、紅眞にアイアンヘッド! 澪は水の波動!」

「紅眞、緋色君にブレイズキック! 碧雅は澪君に最大パワーでフリーズドライ!」

緋色のアイアンヘッドと紅眞君のブレイズキックが激しくぶつかり、アイアンヘッドの軌道をずらす。

澪にフリーズドライを的中させた碧雅君の方に飛んで行き、そのまま激突。

紅眞君は澪が撃ち上げていた水の波動が上から落ちて、バトルフィールドに叩き付けられれる。

そして……4人同時に目を回して倒れ伏した。


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