05
あの後ティナちゃんに凄まれて一気に大人しくなったギャラドスさんたちを横目に見ながら、私はレイナの準備を手伝っていた。
……と言っても、焔君のコンディションチェックとブラッシングなんだけど。
「それにしても、珍しい組み合わせなんだね? てっきり笑理ちゃんがやるんだと思ってた」
「最初はそれも考えたんだけどね……。たまには違うメンバーでも面白いかと思って。
よし、終わったよ勇人」
「へぇ、そうなんだ。
……ん、ブラッシング終わり! 毛艶もバッチリだよ、焔君」
『おぅ。サンキューな、レイナ』
『ユイもありがとう。ブラッシング上手だったよ』
「フフッ、良かった!
焔君、ホント毛艶良いよね。キューティクルもバッチリなんじゃない?」
『毎日レイナお手製のポフィン食べてるからね』
「それもそっか」
ポフィンはポケモンのコンディションや毛艶を良くしてくれるお菓子。
ましてや(私が思うに)プロ級の製菓スキルを持つレイナのお手製とあっては、それはもう美味しくて効果抜群なんだろう。
……私も少しポフィン作る練習しようかな。コンテスト抜きで。
「あら、レイナってお菓子作り得意なのね」
「レイナの作るお菓子、どれも美味しいんだよ!
でもレイナ、なんで今日いつもの服にしたの? あの水色のドレスも持ってくれば良かったのにー」
「着ません! っていうか、なんでポフィンの話からその流れになるの!?」
そう言われればそうだ。コンテストって確か、コーディネーターの方も着飾るんだっけ?
普段着でも参加はできるらしいけど、シンオウではそれが流行りというか"ドレスコード"に近い扱いなんだって。
「えー、私も生で見たかったなー。コンテストバージョンのレイナ」
「ユ、ユイまで……! あーもう、準備はできたから始めるよ!」
『いてっ! なんで俺の肩叩くんだよ!?』
『ただの照れ隠しじゃないかなぁ?』
勇人君と焔君をボールに戻したレイナ。
そしてそのボールに何かを被せた。
よく見ると、シールのようなものが貼ってある。何だっけ、アレ?
『あれは"ボールカプセル"ですね。
シールでデコレーションしてボールに被せることで、ポケモンの登場シーンを演出するそうですよ』
"ボールカプセルがあるのと無いのとでは、ビジュアルに大きく影響するとか"と解説してくれる緋翠の言葉に、記憶の中を探る。
そういえば、ヒカリちゃんもポッチャマのボールにバブルシール付けてた。
というかあの子だけじゃなくて、他のコーディネーターも全員使ってたわ。
レイナが湖の前に立ち、ボールを構えた。
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